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東京避難中の福島のパン職人「福島の人作ったパン怖い」に涙

2011年8月2日 07時00分 (2011年8月2日 07時33分 更新)

 東京・西荻窪にある人気パン店「リスドォル・ミツ」では、4月18日以来、福島県出身のパン職人が働いている。福島第一原発から16kmの地点にある、福島・楢葉町でパン店「アルジャーノン」を営んでいた八橋真樹さん(39)だ。

 八橋さんは、原発事故のため3月12日に緊急避難を余儀なくされた。当初は「すぐに戻れる」と思っていたが、結局、一度も戻ることができないまま避難所や親戚宅などを転々としていた。

 4月初旬、そんな八橋さんの元に1本の電話がかかった。「うちで働いてみないか」。

 その電話の主が、「リスドォル・ミツ」のオーナー・廣瀬満雄さん(60)だった。八橋さんは8年ほど前、廣瀬せんが講師を務めたパン作りの講習会に参加したことがあり、廣瀬さんも八橋さんのことが気がかりだったという。

 こうして「リスドォル・ミツ」では、八橋さんを含めてふたりの被災者が働くようになった。八橋さんは当時の心境をこう振り返る。

「1か月ぶりにパンの生地に触れたときは本当に嬉しかったです。福島に戻りたい気持ちは強いけど、現実と思いはつながりません。いまは、働けることに喜びを感じています」

 しかし、多くのお客さんが励ましてくれる一方で、心ない言葉をぶつけられることもあった。たまたま来店したある客が八橋さんのことを知り、

「このパンは福島の人が作ったの? 怖いからまたにしとくわ」

 といって何も買わずに帰ってしまったのだ。八橋さんはこの話を聞いたとき、目に涙をため声を詰まらせた。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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