首都圏M7地震報道背景に“スゴそうな数字”に飛びつく癖あり

2012年2月7日 16時01分

各種メディアで連日取り上げられる首都直下型地震。それらは、「4年以内にM(マグニチュード)7級が70%」という“衝撃の発表”に端を発している。

読売新聞が1月23日付1面記事で「首都直下型 4年内70% 地震活発 切迫度増す」と報じたのだ。記事は東京大学地震研究所の平田直・教授への取材をもとに、東大地震研の研究チームがM7クラスの地震が発生する確率を試算したとしており、その後、パニック的な報道が連日続いているのだ。

しかしこれは、そもそも新しい発表ではない。東大地震研サイトにこうある。

〈試算は、2011年9月の地震研究所談話会で発表されたもので、その際にも報道には取り上げられました。それ以降、新しい現象が起きたり、新しい計算を行ったわけではありません〉

昨年9月17日付の毎日新聞は「首都圏直下、急増『M7級、30年で98%』」と題して、この試算内容を報じている。「30年以内に98%」と「4年以内に70%」は同じ試算方法を用いた数値である。東大地震研のサイトが、1月29日に「試算結果に含まれる誤差」と題して発表した追記によれば、9月の試算以降、地震発生回数が減少したため、最近の回数で試算し直した場合、確率が大幅に下がるという。

読売の見出しで注目すべきなのは、「地震活発 切迫度増す」という部分だろう。

東大地震研の大木聖子・助教はこう指摘する。

「日本中どこでもM7級の地震は起こり得る。それは今日起きてもおかしくありません。しかも、震災以降、特に首都圏の切迫性が高まっていることは誰もが認めています。本来、切迫度が増したと報道するなら、どういう対策を取ればいいかも報じるべきではないでしょうか」

大木氏のいう「切迫性」も「対策」も特別なことではない。東京に大地震の危険があることは、おそらくほとんどの国民が知っていたことだし、だからこそ1981年6月1日以前の古い耐震基準の建物なら耐震診断を受けて、必要があれば補強する。家具類の転倒や落下防止をしておく――など対策を進めてきた。

首都直下型地震の場合、家屋の倒壊や転倒による死者が8割を占めるといわれる。逆に、その対策をしておけば8割の人は助かる。しかも、家屋やブロック塀が倒れなければ、火災も発生しにくく、発生しても消火活動はスムーズになることが指摘されている。

そうした必要な情報、国民が安心できる現実は伝えず、試算内容を検証することもなく、各メディアはなぜ古いデータに基づいた数値だけを垂れ流し、不安を煽ったのか。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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