<前橋市>徘徊高齢者、手のひらの静脈認証で身元特定します

2017年1月12日 18時53分 (2017年1月12日 19時30分 更新)
 ◇指紋よりも精度高く 4月から試行、全国初の取り組み

 前橋市は、認知症による徘徊(はいかい)で高齢者らが保護された際、手のひらの静脈認証で身元を特定できるサービスを今年4月から試行する。確実で迅速な身元確認ができるのが利点で、全国初の取り組みという。市は「将来的には全国に広げていきたい」としている。

 群馬県高崎市のシステム開発会社「クライム」と共同で始める。静脈認証は、身体的特徴を使って個人を識別する生体認証の一つで、指紋よりも精度が高いとされる。前橋市が導入するサービスでは、希望者はまず市役所に置かれた専用機器で静脈パターンを読み込み、介護保険の被保険者番号などとともに登録しておく。そうしておけば、身元を示すものを持たずに外出して保護された場合、機器に手のひらを数秒間かざせば、タブレット端末に即座に身元情報が表示される仕組みだ。

 警察庁によると、2015年に認知症やその疑いがある行方不明者として警察に届け出があったのは1万2208人に上る。そこで、徘徊対策として全地球測位システム(GPS)の小型機器を携行用に貸し出す自治体が増えている。しかし、GPSは位置情報を探知できる半面、機器を持たずに徘徊していた場合は保護しても身元特定に手間取ることがある。静脈認証はこうしたケースを補完する意味でも有効活用できるという。

 ただ、課題もある。前橋市では16年12月1日現在、買い物や財産管理など日常生活に何らかの支援が必要な認知症の高齢者が1万1042人いるのに対し、GPSの貸し出しを受けているのは31人だけ。啓発を強化して、静脈認証の登録を増やさなくてはサービスは十分に機能しない。

 また、他市町村から徘徊してきた場合や、登録してあっても市外で保護された場合は、このシステムは生かせない。市と同社は「将来は、全国の自治体間を結ぶ専用の情報ネットワークで情報共有できるようにしたい」と話している。【吉田勝

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