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ドーピング冤罪証明 元川崎F我那覇が負担した費用3500万円

2012年2月17日 16時00分 (2012年2月17日 16時33分 更新)

【書評】『争うは本意ならねど』(木村元彦著/集英社インターナショナル/1575円・税込)

【評者】河合香織(ノンフィクション作家)

 * * *
 ここにはスター選手を主人公とする一般のスポーツノンフィクションが纏っている華やかさはない。描かれる事件自体も、日本中の誰もが注目していたほどのものではないだろう。それなのに、不思議なほどに惹きつけられる本だ。

 本書は2007年当時Jリーグ(J1)の川崎フロンターレでプレーしていた我那覇和樹(がなはかずき)に降りかかった「ドーピング冤罪事件」を描いたノンフィクションである。

 我那覇はこの前年、J1で全体の3位、日本人の中では最多の18ゴールを挙げ、その活躍が当時の代表監督オシムに評価され、沖縄出身選手として初めて日本代表にも選ばれた。だが、未来はたった1本の注射で暗転してしまう。

 2007年4月、体調を崩して食事も水も受け付けなかった我那覇は、練習後、チームドクターからビタミンB1入りの生理食塩水を点滴注射してもらった。何の問題もないはずだった。ところが、このことが「にんにく注射」だと誤報されたことをきっかけに、ドーピング禁止規定に抵触したとしてJリーグから6試合の出場停止を食らってしまう。冤罪だった。

 義憤に駆られた全てのJリーグチームのドクターたちが、我那覇と医師の潔白を証明するために立ち上がり、処分の取り消しを求めた。我那覇自身も、「サッカーを裏切るようなことはしていない」と訴えた。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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