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コンビニのおでんに虫が入ると…バイトが見た“衛生管理”のウラ側

2015年8月17日 09時00分 (2015年8月21日 02時42分 更新)

写真はイメージです

【働く女が見た「お仕事の裏側」コンビニ編(5)】

 たくさんの仕事を転々としてきた森尾舟(もり お ふね)が、実体験をレポートします! これまで5チェーン・6店舗でアルバイトしたコンビニの裏側とは――。

◆虫だけ取り除いて売ってました

 おでんの衛生状態については多くの買い物客が気になることだろう。答えから言ってしまえば、私の働いていた店舗のおでんは綺麗とは言えなかった。

 やはり多いのは虫が入ってしまうこと。蓋をしていても空けた瞬間に飛び込んでくることもある。虫が入ってしまい鍋ごとおでんを取り替えるとなると、中に入っている全ての食材を廃棄することになってしまう。

 毎回、全てを廃棄すると、おでんを売ること自体が赤字だ。私が通っていた店舗では社員判断で虫だけ取り除いて、そのまま販売するということもあった。

 また、おでんだけでなくフライヤーも疑わしい。ある店舗では作業中にからあげやチキンを落とした場合は、そのお金を自腹で払わなければならなかった。(そのためバイトは極めて慎重に取り扱う)

 しかし、もしうっかり落としてしまった場合はどうだろう。そこは誰も見ておらず監視カメラもないフライヤー室、そのまま揚げて販売することも、あり得なくはない。

 そういった店舗を見極めるにはやはり、店内が清潔かチェックする必要があると思う。ポップははがれていないか、店員の服装は汚れていないか(中には全く制服を洗わないアルバイトも多い)、商品はきちんと並べてあるかなどをチェックすればある程度、店の清潔感や、お客さまに対するホスピタリティの度合いがわかるような気がする。

◆震災直後、商品を隠した店長

 さまざまなコンビニの裏側を書いてきたが、私にとって一番の裏側はこれであろう。それは、東日本大震災直後の話だ。

 日本中でトイレットペーパーやティッシュ、電池、水、などさまざまなものが品薄になっていたころ。当時勤めていたコンビニの店長が商品をバックヤードに隠し「スタッフにしか販売しない」と言った。

 都内のコンビニなので、決して生きることに困っていたわけではない。その頃は、世の中には困っている人が大勢いたはずだ。私は店長に日々ウンザリしていた。それは1カ月ほど続いたであろう。

 店長の判断もおかしいと感じたが、信じられないのは、それをありがたそうにもらっていく一部の主婦の姿。店長だから言い出せないならわかるけれど、「店員想いの良い店長」「ラッキー」と話す姿に、正直、困惑した。

 廃棄の件などで自分のことしか考えていない人は多いとわかっていたつもりだが、どうにも納得いかなかった。そのことをきっかけに、私はコンビニで働くことを辞めたのだ。

 ここは私の働く場所ではない。ちゃんと生きなくてはと。

◆店舗によってずいぶん違う

 ここに書かれていることはあくまで私がバイトを経験したなかで起こった出来事だ。店舗によってコンビニも随分異なる。

 他の人はわからないが、私の場合は人付き合いが苦手なため2人で働ける職場がラクだったり、家の近所にあるので通勤時間が短かったり、学校に通いながらや、仕事と仕事の繋ぎに行っていたので、ある程度融通が利くというのもありいくつかの店舗でバイトを行った。

 しかし、数々の困ったことが重なりコンビニバイトはさっさと卒業したいと思っていたのも事実だ。過酷な現場だったからこそ、早く抜け出したいと思えたことは結果的に良い方向に繋がったと思う。

 実際に今は、自分の好きな書く仕事でちゃんと生きている。数々のウンザリポイントはあったものの、コンビニバイトは結果的には自分の人生を見直す良い機会になったのではないだろうか。

(コンビニ編、完)

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【森尾舟とは】女性作家・脚本家が3人で結成したユニット。

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森美樹:1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)を上梓

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尾山奈央:1980年生まれ。脚本家、エッセイスト。著書に『1年で20キロやせた私が見つけた月1断食ダイエット』(泰文堂)

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舟崎泉美:1984年生まれ。小説・脚本・ゲームシナリオなどを執筆中。著書に『ほんとうはいないかもしれない彼女へ』(学研、第1回・本にしたい大賞受賞作)

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<コンビニ編 TEXT/舟崎泉美 イラスト/尾山奈央

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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