赤ちゃんが夜なかなか寝てくれない……でも、そんな時にママはただあやしてあげることしかできない。
そんな無力感を感じたことがある方も多くいらっしゃるかと思います。
でも、赤ちゃんの夜泣きは当たり前にあるものだから仕方ない……なんて諦めていませんか?
そんなつらい状況にいるママたちのために、筆者が厳選した、寝かしつけの基本のコツをお伝えしていきます。
どれも子育ての中で無理なく使える方法ですので、お役に立つはずですよ。
山本 ユキコ心理学博士。子育てフィロソフィ代表。2000人以上の親子を指導。2児の母親。
赤ちゃんが夜なかなか寝てくれないのはなぜなのでしょう?
実は、赤ちゃんの睡眠は大人とは質が違うからです。
筆者の主宰する寝かしつけ講座でも、寝かしつけの方法は知っていても理由が分からず、上手く実践出来ないママがたくさん来てくれます。
まずは、赤ちゃんの睡眠について知ることで、効果的な寝かしつけができるようになりますよ。
赤ちゃんを夜中に起こしていたのは、ママだった!?筆者の1人目の赤ちゃんは、夜中に何度も目を覚まし、なかなか寝てくれない子でした。
その子が断乳をして、ようやく夜寝られるようになったころ、著者は地元で新生児の母親の睡眠の研究をしている精神科医の先生のところに、データの整理のお手伝いに行くようになりました。
睡眠の研究は専門外だったので、そこで初めて知った寝かしつけの研究の話はショックの連続でした。
最も驚いたのは、筆者の1人目の赤ちゃんが何度も目を覚ましたのは、筆者自身が知らず知らずに「赤ちゃんを何度も夜中に目を覚まさせるしつけ」をしていたからということでした。
思わずフラフラするほどショックを受け、「もっといろいろ早く知りたかった」と思ったことをよく覚えています。
赤ちゃんは寝ながら動く実は、赤ちゃんの睡眠は大人のものとは質が違います。
大人は浅い眠りと深い眠りを90分周期で繰り返します。その、浅い眠りのほうを“レム睡眠”ということは、多くの方がご存知かと思います。
レム睡眠中は、目がぴくぴく動くけれども、一方、“運動抑制”というものがかかっており、身体は動かない状態です。
大人の場合、深い睡眠(=ノンレム睡眠)に入るとこの“運動抑制”がはずれ、寝言や寝返りをします。その時は、少々つついても起きないですし、無理に起こすと寝起きの悪い状態になってしまいます。
一方の赤ちゃんは、レム睡眠の時にも運動抑制がかかっておらず、身体がなぜかバンバンと動きます。
大人のように、浅い眠りで身体が動かなくなるには生後1歳くらいまでかかるのです。
そして、生後6か月ごろになると、起きている状態の時の運動能力も上がってきます。どんどん動けるようになってきて、だんだんと、寝返りも1人座りも上手になってきます。
生後6か月ごろは、起きているときだけではなく寝ているときにも、せっせと動き始めるのです。布団の端から端まで転がってみたり、急に座ってみたり。泣き出したり。
でも、ちょっと待ってください。それは、寝言と寝返りかもしれないのです。
つまり、赤ちゃんが動いたり、大声で泣いたりしていても、起きているのではなくて、浅い眠りで、寝たままの状態なのかもしれないのです。
生後6か月になった時に、赤ちゃんは夜中に動きますが、それは寝言と寝返りかもしれません。しばらくそっと見守りましょう。
著者が1人目の子育てでやってしまっていた、夜中に赤ちゃんがちょっとでも泣いてしまうと、すぐおっぱいをあげたり、電気をつけたり、抱っこをすることは、赤ちゃんに“浅い眠りになるたびに、起きる”というしつけをしていたようなものなのでした。
著者が寝かしつけメソッドを完成させた後に生まれた2人目の子育てでは、夜中に泣き出しても、まずはそっと見守りました。
泣き止まない時は、抱っこして揺らすよりも、ママの負担が少ない授乳に頼りましたが……それでも、赤ちゃんが夜中に起きる回数が減りました。
2人目の娘は、夜寝るのが難しい個性を持っていたようなので、完全に夜中に起きることをなくすことは難しかったのですが、1人目に比べると、格段にラクになりました。
赤ちゃんの泣き声に敏感で、やさしいママであるほど、すぐに赤ちゃんにこたえてしまい、結果、赤ちゃんを何度も起こすことになるという悪循環。
まずは夜泣いても、ちょっとママはガマンして、そっと赤ちゃんの状態を見るようにして下さい。
生後6か月ごろの赤ちゃんでしたら、ただの寝言と寝返りかもしれません。もしかすると、また寝てくれるかもしれませんよ。