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#22 わたしたちに見えなかったヒラリーの敗北【NYで生きていく】

2016年11月11日 19時45分 (2016年11月16日 11時05分 更新)
2016年11月9日。アメリカ大統領選挙で、大方の予想をくつがえし、ヒラリー・クリントンの女性初の大統領へ挑戦は叶いませんでした。

これまで、さんざん女性やイスラム教徒・ヒスパニックなどのマイノリティに対して蔑んだ言動を繰り返してきたドナルド・トランプが次期大統領に選ばれたことに、アメリカ国内ならず、日本を含む世界中の女性たちが衝撃を受けています。

圧倒的な民主党主義であるニューヨークに住んでいると、周囲にトランプを支持する人は一人もいません。インスタグラムにアップされるハリウッドセレブのポストもヒラリーを支持するものばかり。日本での反応も同様でした。

メディアでも8割以上の確率でヒラリーの勝利を予想していましたし、トランプの度重なる暴言に、同じ共和党の重鎮たちでさえ見放す始末。ごく一部の熱狂的なトランプ支持者といっても、全体の1、2割だろうとたかをくくっていたのです。

そんな楽観的な見通しは間違っていたのかもしれない......まさか、トランプが本当に当選するかもしれない......という思いが初めてよぎったのは、投票終了から数時間、ニューヨーク時間の夜中12時ごろ。

「どうなってるの!?」「いま起こっていることが信じられないわ!」といった携帯メールが友人たちから入るようになりました。そして、その2時間半後、それが現実のものとなってしまいました。

一体何が起こったのだろう?どうしてこんなことになってしまったのだろう?

悪夢をみているような気持ちで迎えた次の日の朝。Facebookに投稿されていたあるポストをみて、ようやく現実が理解できたのです。

それは、いまの仕事に不満を持ち、独立の準備をしていたアメリカ中西部に住む知人の白人男性の投稿でした。

「トランプの勝利を確信してようやく眠れる。これで、バカ高いオバマケアは廃止され、アメリカ人や合法な移民を脅かす不法移民は取り締まられる。不正なカネにまみれたヒラリーが選ばれなくて清々した。トランプほどの傍若無人さがなければ、ワシントンの政治家には対抗できない」

仕事を失った白人の労働者階級がトランプを支持している、ということは認識していました。しかし、彼は大学を卒業しホワイトカラーの仕事をしている二児の父親です。当然、自分と同じ価値観を持っていると疑いませんでした。

二人の娘を持つこの男性にとって、雇用や健康保険の不安に比べれば、トランプの女性に対する暴言など取るに足らないものだったのです。それほどまでに、不信感や不公平感は、わたしたちが思うよりも、もっとずっと根深く、そして、広く侵食していたのです。

2000年に行われたジョージ・W・ブッシュとアル・ゴアの選挙時と同様、投票数ではヒラリーの方が多くを獲得していたことを思うと、選挙制度にも疑問を感じずにいられませんが、2017年の1 月からは、トランプが大統領に就任します。

いま、世界が大きく変わっています。この先、どう変わっていくのか、もう私にはわかりません。

けれど、ヒラリーがコンセッションスピーチで呼びかけたように、すべての小さな女の子たちが、自分の価値を疑うことのない世の中であって欲しい。そのために、まず、自分自身がどうあるべきなのか。現実をきちんと把握できているのか。そして、自分には何ができるのか。

この機会にもう一度考えたいと思います。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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