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出川哲朗の優しさが深い『充電させてー』は『ブラタモリ』を超えてる

2017年5月20日 09時01分 (2017年5月20日 09時42分 更新)

 4月15日からスタートした、出川哲朗のゴールデン“初冠”番組『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京 土曜19時54分より)をご存知でしょうか? 出川と番組ディレクター、ゲストが電動バイクで目的地まで旅をするだけなのですが、道中で見せる出川の言動や仕草がいちいち面白いのです。

 でも番組をよく観ていると、“いじられキャラ”とか“ポンコツ芸人”といった一般のイメージとは違った面が見えてくる。この出川哲朗という男、かなり器の大きな人なのではないかと感じるシーンがあったのです。

 そこで過去の放送からいくつかピックアップしていこうと思います。

◆①優しさが深い

 5月6日放送の秩父から日光へ向かう道中のこと。アパートで一人暮らしをしているという62才のおじさんと出会った出川。部屋に上がり話を聞くと、45才で離婚してからずっとひとりぼっちだというのです。テーブルには“塩分控えめ!”と書いたメモがあり、健康に気を配っている様子でした。

 そんなこんなでおじさんとのおしゃべりを終え、部屋の外へ出ると、出川のウワサを聞きつけ、サインや写真撮影を求める近所の住人で溢れかえっていました。すると、出川はもみくちゃにされながら、こう切り出したのです。

「みんな、このおじさんは俺の親方だから。俺の親方ってことはみんなの親方だから、見かけたらあいさつするようにね!」

 ここにバイク旅のおかしみを支える出川哲朗の優しさを感じたのです。“62才の男性を、本当の意味で孤独にさせちゃダメだぞ”。それをお説教ではなく、ふんわりと気づかせるように諭す。

 確かにおじさんはかわいそうです。でも、そんなおじさんに対して憐みではなく、敬意をもって明るく接してほしいから、みんなの前で“親方”と紹介する。さりげなくて深い気づかいに感動するシーンでした。

◆②ウザいと思っていたタレントのイメージが変わる

 バイクに乗りながらゲストと交わす会話も楽しみのひとつなのですが、ふだんは“ウザいな”と感じていたタレントも、出川としゃべるとアクが抜けてしまうのが面白いところ。

 たとえば、鈴木奈々菊地亜美などは、なぜか出川の前では声のボリュームとかトーンが抑え目になる。他のバラエティ番組では爪痕を残そうとギャーギャーうるさいのに、『充電させてもらえませんか?』ではフツウに会話してくれるのです。

 いつもは話すネタのインパクトばかり気にしていたのかもしれませんが、出川の前では完全にその力みが消えている。自分たちが必死にならなくても、出川なら何とかしてくれるという安心感があるのでしょうか。いずれにせよ、鈴木奈々や菊地亜美を苦しいと感じなかったのは、この番組が初めてでした。

◆③笑われる自分を操って笑わせる

『充電させてもらえませんか?』の最大の見どころは、やはり出川を見つけて押し寄せるシロウトたちとのやり取り。その際、出川が最も多くリクエストされるのが、“ヤバイよヤバイよって言って”というやつ。

 ここで注目したいのは、出川のテンション。すぐに“ヤバイよヤバイよ”とやってあげるのですが、これを100%の力でやらないのですね。むしろ、機械的で事務的に処理する。

 モノマネされるケースの多い出川ですが、その過度にデフォルメされた部分をそぎ落とした“ヤバいよヤバいよ”であり、“リアルガチ”なのです。

 つまり、“出川哲朗”という人様から笑われることで成り立つキャラクターを、素の出川が冷静に操作し直して笑わせているわけです。でもそこにずる賢さを感じさせないのがスゴい。流れ作業みたいな“ヤバいよヤバいよ”でもケラケラと喜ぶ子供たちにとって、出川哲朗は“笑われる”対象のままであり続けるのですから。

 出川哲朗は日本的お笑いのひとつの到達点なのかもしれません。

 NHK『ブラタモリ』の裏番組ということで、「タモリさんをぶっ倒します!」と宣戦布告した出川。視聴率はどうか知りませんが、個人的には『充電させてもらえませんか?』の圧勝だと思うのでした。

<TEXT/沢渡風太>
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