「未熟児」として誕生する赤ちゃんの割合が年々増加していると言われる。周産期医学の進歩により生命の危険こそ激減しているが、英国のある大学の研究チームが、未熟児のパーソナリティ面での成長について興味深い論文を発表した。
内向的な性格になる傾向が強いというのだ。

出生体重が2500g未満の赤ちゃんを低出生体重児と呼ぶが、ここで研究者らが話題にしているのは子宮内での胎児の発育状況に問題があったケースではなく、早産のため出生体重が少ない、いわゆる「未熟児」と表現される赤ちゃんたちについてである。

「未熟児は内気で引っ込み思案、コミュニケーション下手といった性格を呈する可能性が高くなります。」

このたび『Archives of Disease in Childhood』という学術誌でそうした内容を発表したのは、英「ウォーリック大学」のディーター・ウォルケ教授が率いる研究チーム。1985年および1986年に誕生した、未熟児と診断された赤ちゃん200人とそうでない赤ちゃん197人のその後のパーソナリティ面について観察、調査を行ってきたという。すると成長に従い、両者の間には性格面でかなりの差が生じていることが判明。未熟児で誕生した赤ちゃんは、高率で内向的な性格を示すようになってくるというのだ。


心肺能力、身体的成長や免疫力など、あらゆる面で理想の出産時期を妊娠37週以降41週の終わりまでと指導する国は多い。早産で未熟児であると親が不安からつい慎重な子育てをするようになり、それが子供にも影響を与えているのではないかと考えがちだが、ウォルケ教授は脳の発達においても本来胎内にいるべき週数を満たすことの大切さを強調している。胎内で赤ちゃんの脳は構造から機能に至るまで常に成長を続けているが、誕生というスイッチによりそれが変化してしまうことが考えられるそうだ。

また内向的な性格といっても心配性であるため冒険心に欠けている、周囲に存在感をアピールできないといった場合が多いものの、トラブルを巻き起こすようなタイプは見かけないという。ただし気になるのは、アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)である例もより多かったとのこと。世の中を生きて行く上で社交性や社会適応能力、コミュニケーション能力は欠かせない。
もしも子供が未熟児として生まれた場合は親がそうしたことを意識し、幼少期のうちからコミュニケーション能力を十分に磨いていけば良いとまとめられている。

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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)