世界最高齢としてギネス世界記録にも認定されているイタリア人のエマ・モラノさんが11月29日に117歳の誕生日を迎えた。世界で最も長く生きた記録を持つのはフランス人女性のジャンヌ・カルマンさん(Jeanne Calment)で、1997年に122歳と164日で亡くなっている。
世界最長寿まであと5年。1890年代生まれの唯一の生存者でもあるモラノさんが『metro.co.uk』など複数のメディアに長生きの秘訣について語った。

エマ・モラノさんは1899年11月29日、8人きょうだいの長女としてイタリア北西部のピエモンテ州ヴェルチェッリ県チヴィアスコで生まれた。10代の頃はダンスや音楽が好きで、ワルツやタンゴに親しんだという。

しかし、彼女の人生は決して楽なものではなかった。第一次世界大戦時に結婚を約束したフィアンセがいたものの出征し、モラノさんが彼に会うことは二度となかった。
彼は戦死したものとばかり思い込んでいたが、地元紙は「彼は生還したが、引っ越しをしたモラノさんを見つけ出すことができなかったようだ」と報じている。

1926年10月に結婚したモラノさんだが、夫の暴力に苦しみ幸せな思い出はあまりないという。結婚11年目で授かった息子は生後6か月で亡くなり、その1年後の1938年に夫と別居。しかし1978年に夫が亡くなるまで離婚せず、モラノさんにとっての結婚はこれが最初で最後となっている。生計をたてるため麻袋の製造工場に勤め、後にコックとして75歳まで働いた。

モラノさんは夫との別居について「私を支配する人がいなくなり生きるのが楽になりました」と語り、シングルライフを長生きの秘訣のひとつとして挙げている。


気になる食生活はというと、20歳で貧血症と診断されてから毎朝欠かさず食べているのが卵だそうだ。以前は生卵2つと目玉焼き1つを食べていたが、今は生卵を2つだけにしてクッキーを数枚食べる。夕食は牛乳を飲むだけだ。好きだったチョコレートや肉もほとんど食べることがなくなったが、卵は90年以上も毎日食べ続けてきたことになる。

主治医のカルロ・バーヴァさんは「モラノさんはフルーツや野菜をほとんど食べません。でも同じものを毎日、毎週、毎月、毎年食べるのです」と明かしている。
食事へのこだわりはもちろんだが、長寿を全うするには長生きの家系であることも重要なようで、モラノさんの母は91歳で、妹は102歳で亡くなっている。

モラノさんが世界最高齢のタイトルを引き継いだのは、米国人女性スザンナ・マシャット・ジョーンズさん(Susannah Mushatt Jones、116)が死去した今年5月のこと。モラノさんの世話をするローシー・サントーニさんは「彼女の耳はほとんど聞こえません。家族や親しい友達も亡くなっており、家にいることがほとんどです。足はかなり弱っているため、歩くことはとても疲れるようです。最近は昼寝をすることが多くなりましたが、117歳という年齢を考えると元気なものですよ」と語っている。


出典:http://www.bbc.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)