言葉を話せない動物だからこそ、飼い主がその気持ちを思いやり世話をすることが大切となる。しかし人間の身勝手で、口の聞けないペットに虐待ともいえる行為を働く飼い主がいる。
このほどロシアで、飼い犬の耳の形が気に入らず整形をさせたというニュースが英紙『Metro』で伝えられ、猛批判の嵐となっている。

このところ、ロシアでペットの飼い主が起こすなんとも残念なニュースが多い。今年に入ってから、空港に飼い犬を置き去りにし凍死させた飼い主夫婦や、子供の遊び相手に購入したライオンの赤ちゃんの面倒を見きれず売りに出そうとした家族、さらに毛のないスフィンクスという猫の表皮にタトゥーを施した飼い主が動物愛護家らから猛批判を受けていた。そして今回も、また身勝手な飼い主による虐待行為といっても過言ではない出来事が起こった。

マリナ・エスマットさん(37歳)は、息子のためにジャック・ラッセル・テリアの仔犬を購入した。しかし飼い始めて1か月ほどした頃、犬の耳が上向きになっていることに気付いた。
家族は犬の耳を映画『マスク』に出てくる犬のようになんとか下向きにさせようと、耳にコインなどの重りをつけて糊で貼り付けてみたもののうまくいかなかった。

そこで家族は犬の耳を下向きにさせる整形手術をしようと決意し、獣医のもとを訪ねた。アンドレー・メジン医師は「そんな必要はありません」と手術を止めるようにエスマット家に出向き、意思を変えるように説得したという。しかし家族の決意は固く「耳が垂れていた方が可愛い」と主張し、手術の要請をした。

そして飼い主の希望通り犬の耳は下向きに垂れるようにはなったが、犬は軟骨を傷つけられるという不必要な手術を強いられたのである。

最後まで手術に反対していたメジン医師は、「手術は正しかったとは思えません。
しかし、こういう飼い主はいるんです」と呆れ気味だ。繁殖によって同じ犬種でも違いが出るのはごく自然なことだろう。しかしマリナさんは「手術のおかげで耳が垂れて、ドッグショーにも参加することができます。繁殖させたくても耳が上向きになったままでは交尾の相手も見つかりませんでしたが、今では全て順調にいっていますよ」と罪悪感のかけらもなく話している。

このニュースを知った人々は、エスマットさん家族に対して「なんて残酷なの」「立派な動物虐待だ」「動物にする整形手術はあくまでの命を救うためのものであるべきよ」「こんな奴らにペットを飼う資格なんかない」「犬がかわいそう過ぎる。飼い主は恥を知るべきだ」などといった非難する声が多々あがっている。
また、結果的に飼い主のいう通りに手術をしてしまった獣医にも「どうして反対しておきながら手術をしたのか。金のためか」「最後まで手術はしないって言うべきだったのでは」といった批判が寄せられているようだ。

なお先日、育児放棄して行方不明になった母親の子供を飼い犬が氷点下の中で温め続けたというニュースもロシアから伝えられた。やはりペットを“裏切る”のはいつも人間側であるという悲しい事実は否めないようだ。

出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)