年間を通じて多くのライブを行う人気アーティストたちのステージには、ハプニングがつきもの。予期せぬハプニングが起こると、セレブの素の顔を垣間見ることができる。

ハプニングとは、スターの本性が見える絶好のチャンスでもあるのだ。今回は、ハプニングに見舞われた時のリアクションがとても個性的だった、「ステージパフォーマンスの予期せぬ出来事」を、ご紹介する。

■ビヨンセ

 激しいダンスで観客を魅了するビヨンセのステージは、ブロードウェイの舞台のような高いエンターテインメント性で有名。汗でステージが滑りやすくなってしまうのか、ツルッと滑ってドスンと尻もちをついたり、階段から転げ落ちることも少なくない。しかし、そのようなちょっとしたミスをうまくカバーできるのが、ビヨンセのすごいところ。振り付けかと思ってしまうくらい、自然な動きである。

 しかし、そんなビヨンセでも、パフォーマンスを中断しなければならないほどのハプニングに見舞われたことがある。コンサートで、しっとりとアカペラを披露していた時のこと。しーんと静まり返る観客席の中にいた男性ファンが、抑えきることができず、「ベイビー、君が一番。最高だよ!」と声をかけたのだ。意表を突かれたビヨンセは照れてしまい、素の状態に。何度もマイクを口に持っていくのだが、完全に照れてしまい、続けられなくなったのだ。

思いがけず、乙女でかわいらしいビヨンセの表情を見られたファンは大喜び。最終的に、マイクを下げ、一度思いっきり笑うことで吹っ切り、歌を続行したのだった。

ブリトニー・スピアーズ

 ブリトニー・スピアーズにとって最悪のステージは、メルトダウン後に再起をかけて出演した、2007年9月の『MTV Video Music Awards』だとされている。しまりのない体でヘラヘラ笑いながらステージを右往左往し、観客席にいるセレブたちを絶句させ、ある意味伝説的ステージとなったのだが、それ以上に強烈なハプニングが起きたことがある。

 09年に復帰をかけて行った5年ぶりとなるツアー『The Circus Starring Britney Spears』のカリフォルニア州アナハイムのステージでのこと。ラップダンス風のセクシーなダンスで腰をクネリ回していたところ、勢い余って飛び出たのか、コスチュームの股間から白い糸がタラ~ンと垂れているのが観客席からはっきりと見えてしまったのである。

いわゆるレオタード風のコスチュームであるため、白い糸は動画にも収められてしまった。ちなみに、この白い糸だが、タンポンの紐だろうとみられている。

■50セント

 ハードコアなラッパーであるせいか、50セントのステージは、興奮したファンがハプニングを起こすことが多い。

 06年のブラジルでのライブでは、興奮した最前列の若いファンがステージによじ登り、50セントの前に立ち、観客に向かって大きく手を広げて“キメのポーズ”を取るハプニングが発生。50セントは、よじ登ってきた瞬間から、青年に対して激しくメンチを切り戦闘モードに突入。「オレのステージに立ちやがって」とばかりに、ヒョロヒョロしたその青年に体当たりし、ステージの下に突き落としてしまった。

なお、落ちた青年にガンを飛ばした後は、何もなかったかのようにパフォーマンスを続行している。

 08年5月にアフリカのアンゴラ共和国で開催された『インターナショナル・ピース・フェスティバル』でのパフォーマンス中には、ステージに這い上がってきたファンにネックレスを奪われるという事件が発生。このステージ会場は客席のすぐ上にステージがあるという作りで、ステージに上がろうとするファンと阻止しようとするセキュリティーとの揉み合いが最初から最後まで繰り広げられ、50セントとアントラージュ(付き人)もステージに上がろうとするファンを片っ端から突き落とすというひどい状況であった。そんな、どさくさの中、50セントが首からぶら下げていた“勝ち組の証し”であるギンギラギンの高価ネックレスを引きちぎられてしまったのだ。犯人は後日、両親に通報されて逮捕されており、最初から盗むことが狙いだったと自白したと伝えられている。

 10年7月にはブラジルでパフォーマンス中、ステージによじ登ってきた興奮した男性ファンに腕をわしづかみにされるというハプニングが発生。

ステージ脇に控えていたセキュリティーが瞬時に駆けつけ、男は床に押さえつけられた。無抵抗状態の男性に、50セントが所属するギャングスタ・ユニット「Gユニット」のロイド・バンクスが数回パンチをお見舞いし、50セントも殴りかかろうとするものの、アントラージュにより阻止され、ガンを飛ばした後、再び股間をつかみ上げラップし続けた

 ファンを大事にしているものの、神聖なるオレ様のステージに上がることは決して許さない。そんな50セントのかたくなな男気が感じられるエピソードである。

■ニッキー・ミナージュ

 キュートなイメージで売っているニッキー・ミナージュだが、チンピラのようなギャング男子を引き連れ、ラップしている内容はかなりハード。そんな彼女のライブには、多くの男性ファンが押しかける。

あるライブでラップダンス前のトークを披露している最中に、ステージ横から男性ファンが上がり込み、彼女のもとにスタスタと歩いてくるハプニングが発生。ニッキーはこの男性にすぐに気がついたが動じず、「ハイ、ベイビー」と言い、ハグを求める男性に応じ、「これからラップダンスするのよ、邪魔しないで」と優しく語りかけた。KYな男はカメラを取り出し、ニッキーとの自撮りツーショット写真を撮影。ここでやっとセキュリティーが駆けつけて男は連れ出されたのたが、ニッキーは手をヒラヒラさせながら「アイ・ラブ・ユー」と余裕で見送り、観客から拍手喝采を浴びたのだった。

 また、11年8月に国民的朝のバラエティー・ニュース番組『グッド・モーニング・アメリカ』にゲスト出演をし、歌を披露した時のこと。ステージの上でクルクル回っていた際、左の乳首がポコッと飛び出してしまった。明るい色の衣装を着ていたため、ダークチョコレート色の乳首は遠くからもわかるほどで、全米に生放送してしまった番組はその後、謝罪声明を出している。

 彼女の乳首飛び出しは、実はライブではよくあることで、自身で気がつき、大きな口を開け「超ビックリ」というかわいらしいリアクションをしてごまかすことが多い。だが、世界的に知名度が上がるにつれてあまりヨロシクないと思うようになったのか、最近は乳首にニップレス・シールを貼って、事前に防御するようになった。

■リアーナ

 自分に暴力を振るった元彼クリス・ブラウンのことを「今も愛している」と激白し、ワイルドな男を愛する体質から抜け出せないでいるリアーナ。愛する男の前ではネコのようになってしまう彼女だが、インタビューやステージの上では「バルバドスの女番長モード」全開で、強気なガールズパワーを炸裂させることで知られている。

 07年のカナダでのライブで起こったハプニングでは、リアーナらしい方法で解決に導き観客を大喜びさせたのだが、その様子をたまたまビデオカメラに収めていたファンがYouTubeに投稿。「カッコいい!」「さすがリアーナ」だと大絶賛された。

 そのハプニングとは、観客同士が始めたケンカ。パフォーマンス中、観客席後方で勃発したケンカに気がついたリアーナはしかめっ面で彼らをにらみつけ、バンドやダンサーたちに「ちょっと、ストップしてくれる!?」と大きく手を振り、中断するよう指示。ステージ中央にスッと立った彼女は、ケンカをしている男たちを指さし、「アンタたちが何やってんだか知らないけどさ。今すぐやめなきゃ、このショー終わりにするわよ。いい?」と、きつい口調で言い放ったのだ。「ほら、やめた方がいいんじゃない」と言われた男たちは、バツが悪そうに彼女の言葉に素直に従い、ケンカをやめた。

 実は、コンサートで客がケンカを始めるということは珍しくないらしく、ジャスティン・ビーバーもフランスのコンサートで前席に座っていたファンが激しいケンカを始めたため、パフォーマンスを中断し、言葉が通じないながらも身ぶり手ぶりで必死に「ダメだよ、ダメダメ!」と伝え、落ち着かせたことがある。

 ほかにも、歌っている最中にチュッパチャプスを投げられ、こともあろうに義眼である左目にグサリと刺さってしまったデヴィッド・ボウイ、コンサートでマイクが急にダメになってしまい観客に向かって一生懸命叫び始めたテイラー・スウィフト、トカゲのようにステージを這いながら迫ってくる男性ファンに本気で脅えてしまったレディー・ガガ、笛を吹いているようにパフォーマンスしていたものの実際に吹いていないことがバレ頭を抱え泣き真似をしてごまかしたケイティ・ペリー、ダンス中に髪のエクステがポロリと落ちたジェニファー・ロペス、野外コンサート中に上から鳩のフンが大量に降ってきてステージを去ってしまったキングス・オブ・レオンなどなど、コンサートにおけるハプニングエピソードは枚挙にいとまがない。

 あのキング・オブ・ポップことマイケル・ジャクソンも、コンサートの途中で急にはにかんだ表情になり、くるりと後ろを向き、ズボンのジッパーを上げたことがある。再び前を向いたマイケルは照れており、まるで少年のようであった。