一人でも多くの人に読んでほしい本 Date:2004-03-16
おすすめ度: 
昨年からデジスコ(望遠鏡とデジカメ)で野鳥の写真撮影をしているのですが、密猟の下見に来たらしい人たちに遭遇したことがあります。車のカセットでオオルリの鳴き声を耳が潰れそうな大音量で流していました。「なにをしているのですか?」と尋ねると、「鳥を見に来た」と言うのです。「オオルリは喧嘩鳥だからね、寄ってくるんだよ。」こんな暴力的な手段を使って野鳥をおびき寄せ、それを愛でる、なんて人がいるはずはありません。「最近は見ていませんね。もういないんじゃないですか。」彼らは私の無言の圧力に押されるようにして帰っていきました。それ以前にも、テープを大音量で流して、野鳥を呼び寄せようとしている人に会ったことがあります。たくさんの籠の鳥を道端に並べて、野鳥を呼び寄せようとしている人にも会いました。こういったことは自然がまだ残っている田舎ではときたま遭遇することです。 久しぶりに本を嘗めるように読みました。十数年前に著者が遭遇した中国の野鳥売買の実態、身の危険も振り返らない詳細な潜入レポート、日本の野鳥輸入業者や販売店の悪質な手口、鈍感で無責任なお役所の官僚たち、「愛鳥家」の名を騙るメジロ鳴き合わせ会の会員たち……。 著者は大所高所から理論を語っているのではなく、ドン・キホーテ張りに体を張って、実態を自分の目で確かめて、現場からレポートしています。日本でもこれだけの本が書かれるようになったのですね。われわれの環境や生物多様性に関する意識も、そろそろ成熟の段階に入ろうとしているのかな、と、この本を読んでいて嬉しくなりました。 絶滅してからでは遅いのです。そして野鳥は渡りをしますから、海や国境の向こうは知らぬ存ぜぬでは、いっこうに問題は解決されません。 一人でも多くの人に読んでいただきたい本です。
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