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ストーリー

美術絵画の修復士を志す阿形順正は、フィレンツェの工房で修復の修行に明け暮れ、その才能を開花させようとしていた。そばには活発で少々気の強い芽実という恋人が見守り、人生は順調そのもののはずだった。しかし、彼の心の中には常に空虚な穴がぽっかりと空いていた。それは、かつて愛した一人の女性の存在をどうしても忘れる事が出来なかったからである。学生時代をともに過ごし、そばにいるだけで心が休まり、まるでテレパシーが通じ合うかのごとくお互いの全てを分かり合えた女性、あおい。香港からの留学生で、常に冷静で聡明だがその心の奥には情熱的な愛情が流れ、愛する事は孤独だと教えてくれた唯一の女性、あおい。順正は、自分の修復している絵画の中にも、街で通りすがる人の中にも、二度と会うことはないであろう彼女の姿を未だ探しつづけていた。

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そんな中、順正はふとしたことをきっかけにあおいが今ミラノにいることを知る。意を決してあおいに会いに行く順正。この空虚な心をいやしてくれるのは、あおい以外にはない。あおいと会って全てをやり直したい。彼女もきっとそう思っているに違いない…。しかし、順正が目にしたあおいは裕福なアメリカ人実業家の恋人、マーヴに生活の全てをゆだね、何不自由のない生活を送っていた。昼はジュエリーショップで働き、夜はマーヴの帰りを待って友人とのパーティーや高級レストランの接待につきあう日々。全てが満たされ、完璧に調和を保っていた。そこに順正の居場所はもうなかった。

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傷心の順正に追い討ちをかけるように事件が起こる。順正の修復していた絵画が何者かによって無残にも切り裂かれたのだ。工房自体の存続すら危ぶまれる状況の中、順正は追われるようにして日本に帰国する。そして、二人が別れる事になった事件の裏に隠されていた真実を知る。怒りと悲しみに打ちひしがれる順正。しかし真実と歳月は、順正のあおいに対する思いを忘れさせるどころか、どんどん深く確実なものにしていくのだった。 順正に残された最後の望みは、10年前の他愛もない約束、“あおいの30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモのクーポラで待ち合わせる。”というものだった。あおいはもう忘れてしまっているに違いない。しかし順正は、再びイタリアへと旅立つ。一縷のはかない望みだけに全てをかけて。あの愛は真実だったということを証明するために…。

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