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彼が作家を目指してパリに来たのは1年前のことだった。モンマルトルはボヘミアン・レボリューションの根城だった。そして、ナイトクラブ“ムーラン・ルージュ”は享楽の夜の王者。派手なレビューとカンカンと歌。金持ちだけが楽しめる別世界だった。 ある日、クリスチャンが安宿でタイプを打っていると、天井が壊れて気を失った人が落ちてきた。慌ててドアから入ってきたトゥールーズ・ロートレック(ジョン・レグイザモ)によれば、彼らはサティーン(ニコール・キッドマン)を主役にしたショーの練習をしていたという。
実は、ムーラン・ルージュのオーナー、ジドラー(ジム・ブロードベント)は電飾に浪費して経営は火の車。ショーの投資家を捜していた。トゥールーズたちは明日、資産家の公爵(リチャード・ロクスボロウ)に新しいショーを見せなければならないが、未だに台本は未完成。そこでクリスチャンが作家の代役に起用されることになった。
ジドラーはサティーンを公爵に世話することで資金を引き出そうとしていた。そしてまたサティーンもここを出て本物の女優になるためにパトロンを捜していた。クリスチャンを公爵だと誤解し一目で彼を気に入ったサティーンは、彼をベッドに誘い込もうとするが、うぶでロマンティックなクリスチャンは詩を口ずさみ、「お金があったら君と暮らす家を買おう」と歌う。初めて本物の恋を知るサティーン。彼が貧乏作家と知ってうろたえたものの、もはや恋の炎は消せなかった。
しかし公爵から店への投資を取りつけるため、二人は公爵の前では作家と女優の関係を装わねばならない。クリスチャンはショーのための物語をでっち上げた。テーマは愛。舞台はインド。美しいコーティザンをめぐるマハラジャと貧しいシター弾きの三角関係。日蔭の恋の物語は二人の現実を重ねたものだった。やがて公爵の投資が決まり、リハーサルは進んだ。公爵はジドラーに出資の保証としてサティーンの独占を要求したが、サティーンは口実を作って公爵の誘いを断り続けた。二人は幸せだった。
だが、「真実の愛でコーティザンとシター弾きが結ばれる」という物語の結末を聞いた公爵は、女はマハラジャのものになるべきだと激怒する。サティーンとクリスチャンの関係を知ったジドラーは「ショーは続けなければならない」とサティーンを説得。彼女は怒りを静めるために公爵のものになることを決意する。しかし、公爵にベッドに押し倒されたとき、彼女はもうこれ以上自分を偽れないことに気づいた。公爵をはねのけ、クリスチャンのもとに走るサティーン。クリスチャンは彼女に「一緒に逃げよう」と言うのだが……
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