三宅一生ディレクション「XXIc.- 21世紀人」

2008年4月3日 10:00
 東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTにおいて、第3回企画展 三宅一生ディレクション「XXIc.- 21世紀人」が開催されている。本展の企画は、三宅氏自らが発起人となり1年以上の年月をかけて練り上げてきたものだ。会見の席で、三宅氏は「21世紀人」の展示の経緯についてこう語った。

 「時代は21世紀に入り数年が経ちましたが、以前に私たちが描いていた理想の21世紀とは違い、知らず知らずに多くの問題を感じながら生きています。その問題と向き合い解決しようと思った時に、最初に浮かんできたのがイサム・ノグチの作品です。この『スタンディング・ヌード・ユース』は、1930年代に北京で描かれた作品。日本人とアメリカ人との間に生まれたノグチが、自分のルーツを探るために渡った旅の途中で描かれたものです。その後、アメリカでティム・ホーキンソンが描いたドラゴンと出会います。自由な発想の作品を見て、自分の中でアイデアが広がってきた。
 そしてロン・アラッドの作品『ピザコブラ』。これは、金属をスパイラル状にした照明器具なのですが、新しいテクノロジーを使った次世代のアートです。これを見た時に、『星の王子様』のウワバミをイメージした。そこでこのコブラは展示の案内役になるよう設置しました。最初はこの3人の作品をガイドにして、新しい世代の作家を起用し、今抱えている問題を前向きにとらえ解決していく方向を探っていきました」


 展示は全部で11の作品からなる。作品は一つひとつすべて意味があるものだが、順路通りに進むと「恐怖から希望へ」という一連のストーリーが連なる展示構成になっている。構成は、アメリカ人アーティストのデュイ・セイドが手がけた。

 ティム・ホーキンソンの『ドラゴン』、ロン・アラッドの『ピザコブラ』を経て暗闇の中へ。三宅一生による『21世紀の神話』の空間が広がっている。鬱蒼とした森のような空間の中には、ところどころに女性のモチーフが存在する。鑑賞者は、森の中をうろうろと歩き回り、女性たちに出会う。楽しそうに踊っている娘、蝶を放つ娘、絵画のワンシーンのように、その背後に存在する物語を想像して楽しむことができる。

三宅一生『21世紀の神話』 Photo(c) Masaya Yoshimura / Nacasa & Partners Inc.

 「最初にお話したイサム・ノグチと、ティム・ホーキンソンの作品からインスピレーションを得て、21世紀の神話を考えていく時に出てきたのが、日本の古い神話の『ヤマタノオロチ』と、ストラヴィンスキーの『春の祭典』でした。現在の環境問題が深刻になると、これから40、50年後には服をつくる資源がなくなってしまうかもしれない。今の時代は、この森の中のように渾沌としている。この作品を見て、我々はどういう時代に生きているのだろう、と考えてもらえたらと思います。同時に、決してペシミスティックにならず、切り抜けていく方法を掴み取ってもらえたらうれしい」(三宅一生)

 作品に使われている素材は紙。「プリーツ プリーズ イッセイミヤケ」の製造工程で使用された、廃棄前の紙を8人の娘たちのボディと衣服に再利用した。会場中を覆い尽くす森や、娘のボディ作りはすべてスタッフが手作業で作り上げ、壮大なスケールの作品に仕上がった。


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