今週末見るべき映画「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」

2008年5月16日 00:00
 テキサス州選出の下院議員チャーリー・ウィルソンが、いかにして1979年のソ連によるアフガニスタン侵攻をくい止め、撤退させたかという実話に基づく映画「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」(東宝東和配給)。

 原作は、ソ連通のジャーナリスト、ジョージ・クライルの同名ノンフィクション。配役がアカデミー賞受賞者揃い。愛国心あふれる下院議員チャーリーにトム・ハンクス。共産主義嫌い、テキサスでも6番目の資産家女性ジョアンにジュリア・ロバーツ。チャーリーに協力するCIAのはみ出し局員ガストにフィリップ・シーモア・ホフマン。役者が揃った。この三人が協力、早いテンポで、まずは、ソ連軍が撤退するまでが語られる。
© 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 シリアスな政治ドラマを予想したが、これは立派なコメディ仕立て。笑わせるセリフ、シーンが全編に用意されている。映画の行間、見たあとに漂う雰囲気は、ソ連撤退までの話ではない。かつて、アメリカが援助し、育てたアフガニスタンの兵士たちが、いま、アメリカからテロリストと呼ばれ、アメリカのアフガニスタン攻撃の対象となっている。9・11前後のアメリカの中東政策、その現実を眺めると、まさに「歴史の皮肉」、これはブラックなコメディなのである。

 一見、アメリカの勝利を描きながら、痛烈なアメリカ批判。その巧みな話術は、監督マイク・ニコルズの職人芸。あざやかで見事である。かつて、「バージニア・ウルフなんかこわくない」「卒業」「クローサー」などで示した鋭さは、いささかも鈍ってはいない。
© 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 1979年、ソ連のアフガ二スタン侵攻とその撤退については、いろんな報道があった。しかし、圧倒的戦力のソ連軍に対して、アフガ二スタン勢力が、どのような武器で、いかにして戦ったか、東西冷戦の中、アメリカが陰でいかに暗躍したかについては、アメリカにおいてですら、くわしくは報道されていなかった。

 すべて、チャーリーのお手柄ではないにしても、映画は、極秘に進められた「戦争」の経緯を、スピーディに、コミカルに描いて、あきない。そして、いまのアメリカの「歴史の皮肉」が、スパイスたっぷり、盛られているのに驚くことになる。

 特筆すべきは、「いまに分かる」と繰り返す、フィリップ・シーモア・ホフマンの演技。ただただ見とれる。


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