現代美術を体現するフランス人女性作家、アネット・メサジェ

2008年8月27日 16:20
 フランスを代表する女性アーティスト、アネット・メサジェ。1970年代から、ぬいぐるみ、写真、絵、毛糸、動物のはく製、拾い集めたオブジェ… といった日常の身の回りにある素材を用いて作品作りをしてきたアーティストである。その一大個展が東京・六本木の森美術館で開催されている。

 その作品は、ポップで可愛いと思い眺めているとだんだん怖くなってきたり、子どものような無邪気な造形かと思いきや社会性の強い作品だったり、とても個人的なテーマのようでいて、すべての人の心に訴えるメッセージだったり。間口の広さに対して、そこから派生する多様な解釈ができる作品ばかりだ。

《彼らと私たち、私たちと彼ら》


 最初の展示室に入ると、まず目に入るのが「彼らと私たち、私たちと彼ら」。止まり木にちょこんと佇んでいる鳥のはく製の頭には、ぬいぐるみの頭がかぶさっている。愛らしくもあり、同時に切なさも感じさせる作品。目線よりもかなり高い位置にある作品の下を通りながら、私たちは下から覗き込むような格好になる。

 作品の真下から見上げた時、自らの視線と目が合うことになる。止まり木のような台は、鏡になっている。他者を知ろうとして対峙することは、意図せずして自分を知ることにもつながるのだ。また同時に、なかなか他者とかかわり合えず、仮面をかぶっている現実社会をアイロニカルな視線でとらえた作品でもある。


 ガラスケースを覗き込んで、一瞬ドキッとさせられてしまった。「寄宿者たち」のシリーズである。この作品「寄宿者たち──休息」と、「歩行」、「お仕置き」の3つからなる。小鳥のはく製に、まるで我が子を慈しむかのように、パステルカラーの手編みのセーターを一つひとつ着せている。

 そこからは、母親のようなすべてを包み込む愛というよりは、小さき者を自分の支配下に置く、一種の狂気のようなものを感じてしまった。メサジェの初期の頃の作品である。


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