【PingMag】売れる器、デザインの秘密:白山陶器
2008年9月11日 20:00
長崎県の誇る伝統工芸品、波佐見焼き。鮮やかな色彩、網目焼き、墨はじきなど、その技術の高さは相当なものだ。しかし、今回紹介する白山陶器は、波佐見の地で磁器をつくりつづける8代目ながらも、その造形は明らかに他の窯とは一線を画す。”デザイン”という要素を導入した伝統の窯は、どんなものづくり、どんな商いを営んできたのだろう?
取材:鈴木隆文

宇宙から降りてきたようなフォルムの花瓶。伝統的な窯元らしからぬ奇抜なデザイン
白山陶器は、この産地の他のメーカーとは、一線を画して、独自の色を強く打ち出していますね。
そうですね。ウチは、森正洋というデザイナーが在籍して、1950年代からずっと引っ張ってくれた。それがひとつの財産になっているとは思いますね。
1950年代からデザイナーを入れて焼き物をやっている窯元というのは、随分、時代の先をいっている感じですね。
まあ、それは先代である父が、この波佐見の地に婿入りしてきて、「同業者で競争しなくていいものはないか」そう考えていたときに出会ったのがデザインだったということだと思います。だから、各種研究機関の人が、「成功事例として取り上げたいので、御社が成功した理由を教えてください?」なんて急に言われても、困っちゃうんです(笑)。ウチは、デザインをベースに「今、今、今」ということの積み重ねでやってきただけですからね。

オーソドックスな形の中にも、少しスパイスの利いたデザインが施されている
でも、どうして白山陶器は、50年代という時代に、デザイナーを採用しようなどと思ったのでしょうか?
かの有名な松下幸之助という人が、世界漫遊を終えて、飛行機のタラップから降り立ったときに、「これからはデザインの時代やで」と言ったそうなんです。それを聞いた父は、「ああ、そういう時代か。でも、デザインって、何だろう? でも、松下幸之助が言うのだからデザインの時代なんだろな。じゃあ、ウチにデザイナーを入れよう。どこかにデザイナーいないかな?」って思ったらしいんです。
でも、その時代、長崎の田舎に、デザイナーなんているわけない(笑)。ところが、長崎県窯業試験場(現・長崎県窯業センター)というところの所長に聞いたら、ひとり面白いザイナーが在籍しているというんです。
その方が森正洋さんだったわけですね。
そうなんです。昔は、窯業は土日も休みなんてなかったんです。ただ、ここは、県立の機関だから、土曜日は半ドン、日曜日は休みだった。だから、土曜日の午後と日曜日に、アルバイトで会社に来てもらってデザインを見てもらうことにしたんです。
白肌の箱に遊ぶ職人集団:松田桐箱
遊びに伝統の紙を灯す : 坂本秋央
手でつくる美しき足あと : ヤマト
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