写真というメディアの可能性を考える展覧会

2008年9月18日 17:00
 東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーにて開催されている「トレース・エレメンツ─日豪の写真メディアにおける精神と記憶」を見てきた。日本とオーストラリアから参加した10名のアーティストが、写真、映像、ヴィデオ・インスタレーションなどを通して、写真が持つメディアとしての特性、そして技術の発達による新たな可能性を探る展覧会だ。

 展示室に入るとすぐにあるのが、志賀江里子の作品。志賀は、今年「第33回木村伊兵衛写真賞」を受賞した、実力派の作家だ。今回は彼女の作品集『Lily』に収められた初期の3つのシリーズ「明日の朝、ジャックが私を見た」「ダミアン・コート」「リリー」が展示されている。


 志賀の作品は、時間というものを感じさせない。昔、心霊番組で、霊能者がフィルムに向かって念写するのを見たことあるが、ともするとそんな印象をも受ける。だが、その写真は単に怖いというよりも、おとぎ話の世界に迷い込んだような感じだ。

 果たして、この被写体は本当にカメラの前にあるのだろうか? 現実と非現実、過去と現在と未来、どこかに存在するパラレルワールドのような、不思議だけれども妙に惹きつけられる不思議な力が画面からバシバシ伝わってくる。

 カーテンをくぐると、5つのモニタにさまざまな光景が映し出されているところが見える。ジェネヴィーヴ・グリーヴスの作品だ。彼女は、アボリジニのコミュニティで過ごした経験を持ち、オーストラリアの民族の歴史について学ぶ歴史家でもある。今回の展示は、シリーズ「昔の人を撮る」というもの。

ジュネヴィーヴ・グリーヴス 《子供たち》「昔の人を撮る」より(プロダクションスティル) 5チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション 2005 courtesy:the artist

 映像に映し出されているのは、19世紀のアボリジニの肖像写真の撮影風景の再現。そこには、白人が考えるアボリジニのイメージがカメラの前で作られていく過程が映し出されている。ヴィデオ・インスタレーションを通じて、写真家と被写体の関係や当時のアボリジニの姿を再び考察する試みだ。


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