【PingMag】97歳現役、植物画の巨匠:熊田千佳慕
2008年10月1日 20:45
ボタニカルアートとは、植物の絵を職人的に描くことを言う。かつては、薬草を見分けるために、画家と植物学者がペアを組んで、世界中を往来したそうだ。熊田千佳慕は、自然を対象にした数多くの挿絵や絵本作品を手掛けてきた。庭や近所の森にいる昆虫、動物、植物などをひたすら描き続けること71年間。御年97歳!!日本においては、ボタニカルアートの草分けとしても知られ、今も現役のボタニカルアーティストである彼は、一体どんな想いで自然を描き続けてきたのだろう。
取材:鈴木隆文

熊田さんは、いつから植物や昆虫を対象とした絵に携わるようになったのでしょうか?
仕事としては、僕が26歳のときです。それまでやっていたグラフィックデザインの会社を辞めて、家内にも相談せずにパッと切り替えてしまったの。当時、戦争で本はみんな燃えてしまって、関西の方からえげつのない絵本がいっぱい入ってきて、「これはいけない!いい絵の絵本を描かなきゃ」って、僕は子供が大好きですから、そう思ってはじめたんですね。そこから貧乏生活がはじまりましたね(笑)。
職人的な画家のキャリアをはじめる前には、グラフィックデザインのお仕事をされていたのですか?
デザイナーではなく図案家と呼ばれていた時代です。当時(1930年代)は、「広告」という言葉自体が新しいものだったし、僕がいた日本工房は、日本のグラフィックデザインの草分け的な会社。僕を呼んでくれた師匠の山名文夫も有名ですけど、他にも優秀な人を沢山輩出した。土門拳や亀倉雄策は、僕の後に入ってきた人たちで、土門とは特に仲が良かった。とにかく忙しかったから、毎日、朝から終電まで働いていました。給料も沢山もらっていましたね(笑)。


熊田氏の手の上で遊ぶカマキリ。庭や公園で虫と実際に戯れる間、彼らの動きをずっと観察をする。
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