森美術館で、視覚・聴覚・触覚のめくるめく体験

2009年4月12日 16:35
 光を浴びる、指先から感じる、脳幹で音をキャッチする…。全身の感覚が揺さぶられ、目の前で起こっている出来事にただただ驚嘆。そのまま一気に作品に引き寄せられ、幾層にも織り重なる思想の深淵へダイブイン――全身で楽しめる、アート・エンタテインメントとも言うべき大規模なインスタレーションが森美術館に上陸。世界の見え方が変わる、そんなコレクションがウィーンからやってきているのだ。

 4月4日(土)より、東京・六本木の森美術館にて、「万華鏡の視覚:ティッセン・ボルミネッサ現代美術財団コレクションより」展が始まった。

 良質な現代アートのコレクションを誇る、オーストリアのティッセン・ボルミネッサ現代美術財団が所有する、大掛かりなインスタレーションを中心としたコレクションを公開。展示は「万華鏡の視覚」と題し、千変万化の視点を持つ作家たちの、あらゆる感覚を刺激してくる作品と出会えるよう構成されている。

ケリス・ウィン・エヴァンス『無題』(2008/09年)

 ま、まぶしい! 一瞬目の前が真っ白になり、思わず目を細めてしまう。まず最初に現れるのが、この柱の作品『無題』(2008/09年)。イギリス人アーティスト、ケリス・ウィン・エヴァンスの作品だ。映像作家デレク・ジャーマンのアシスタントを務めた人物で、90年代以降はコンセプチュアルな作品を多く発表している。

 蛍光灯を272本使ったというこの作品。財団所有の3m50cmほどの作品を、森美術館用に約1.5倍の6m弱に作り直している。眩しさに慣れた目で作品をよく見てみると、このそびえ立つ光の柱の直線的な重厚感は、ギリシャ建築の柱のようにも感じられる。単なる工業製品である蛍光灯も捉え方次第というわけだ。


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