ディーター・ラムス インタビュー、機能主義デザイン再考

2009年7月15日 00:01
 長年、ブラウン社(BRAUN)においてデザイン、監修を手がけてきたドイツを代表するデザイナー、ディーター・ラムス。現在、東京・府中の府中市美術館で行われている展覧会「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代―機能主義デザイン再考」では、彼の長年の軌跡を、実際の製品からスケッチ、プロトタイプ、モックアップにいたる多くの資料によって、垣間みることができる。同展開催のため来日したラムス氏に話を聞いた。

―レコードとラジオを組み合わせて持ち運び可能とした「TP1」は、1959年の製品ですね。これはどんな着想から生まれたものなのでしょうか?

 当時はまだ「ソフトウエア」という言葉もない時代でしたが、ソフトウエアを持ち歩いていろんなところで楽しもうというアイデアが根底にありました。とはいえ、当時のレコードの主流は7インチで、1曲くらいしか入らないようなものでしたね。後になって「あれは最初のウォークマンだった」と言われているのですが、それはもちろん、後付けでしかありません。私自身はあれを気に入っていて、語学学習のリピートをするのによく使いましたね。そういう意味では、非常に思い入れのある製品です。

「TP1」ラジオ・レコードプレーヤー複合機(ポケットラジオT3、T4もしくはT41/レコードプレーヤーP1)1959年 デザイン:ディーター・ラムス ※写真はT4とP1の組み合わせ

―現在、多くの人々がアップル社の「iPod」や「iPhone」などで音楽や映像を外に持ち出して楽しんでいるわけですが、この「iPod」や「iPhone」のデザインに、ラムスさんが影響を与えたと言えるのではないでしょうか? たとえばこの「TP1」のように、「縦型」というデザインのポイントなど。それについてはいかがでしょう。

 私の持っている基本的意見と、よく似た考えで作られているということは、確かに感じます。私の知り合いのジャーナリストや友人によっては「あれはコピーだ」という意見を私に言ってくることもありますね。でも、そう言われることは、逆に私にとっては褒め言葉だと思います。デザイナーの持つ宿命と言いますか、私自身は模倣ではないと思います。私にとっての最大級の褒め言葉だと感じていますよ。


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