今週末見るべき映画 「ミリキタニの猫」
2007年9月7日 11:00 日本人画家、ジミー・ツトム・ミリキタニの波乱の人生を描いたドキュメント「ミリキタニの猫」(パンドラ配給)を見た。

(C)2006 lucid dreaming,inc.ALL Rights Reserve.
ミリキタニとは、姓で三力谷。1920年にカリフォルニア州サクラメントに生まれ、広島で少年時代を過ごす。画家になるべく18歳でアメリカに渡る。時あたかも戦争の真っ最中、軍国主義の日本を嫌ってのことである。
1941年、日本軍による真珠湾攻撃、太平洋戦争が始まる。ミリキタニは、姉の家族とシアトルに在住、当然、日本人であるがゆえに、強制収容所に送られる。戦争が終わっても、ミリキタニは、ニュージャージー州の農場での強制労働に従事。アメリカ政府の忠誠テストで、すでにミリキタニは、アメリカの市民権を放棄していた。
1950年代に、ミリキタニはニューヨークにたどり着く。ホームレス同様の生活から料理人としての訓練を受けるチャンスを得て、しばらくは料理人として東海岸で働く。やがて住み込みの料理人として落ち着くかにみえたが、1980年代には、雇用主が死んでしまう。ワシントンスクエアの公園が、ミリキタニの住み家となる。ほそぼそと絵を売りながらのホームレス状態が続く。
映画は、ホームレス状態のミリキタニが、リンダという女性映像作家の努力によって、その過去があきらかになる過程を、淡々と描く。

(C)2006 lucid dreaming,inc.ALL Rights Reserve.
はじめは風変わりなホームレスと、若い女性の奇妙な同居生活が紹介されるが、ミリキタニの経歴がすこしづつ明らかになるにつれて、政治的な意味合いを増してゆく。日本とアメリカの戦争によって、個人が翻弄され、抹殺されようとした経過が浮かびあがってくる。
胸に迫るシーンは多い。収容所時代に、少年から日本の猫を描いて、と頼まれて、猫を描く。その少年は収容所で死ぬ。また、市民権を回復したミリキタニが、かつての収容所を訪問するシーンがある。そこには、いかに悲惨な目にあおうと、「世界」を許そうとする一老人の姿があり、心動く。
「ミリキタニの猫」は、事実の積み重ねから、はるかに大きな意味を提出し得た作品と言える。
【story】
つい数年前の冬のニューヨーク。ホームレス同然のいでたちで、絵を書いてほそぼそと生きている老人がいる。老人は日本人のようである。絵を買わないかぎり、施しはいっさい受けない。たまたま絵を買ったことが縁で、女流の映像作家リンダ・ハッテンドーフは、この老人ミリキタニの映像を撮り始める。
そして2001年9月11日。同時多発テロの日、崩れてゆくツインタワーを前に、なおも絵を描き続けるミリキタニを見て、リンダは自宅に引き取る決意をする。
すでに80歳を超えているミリキタニは、テレビには無関心、猫と遊んだり、日本の演歌を唄ったりして、絵を描きつづけている。そして時折、「No War!」と叫ぶ。
描く絵は、収容所ふうの粗末な建物、広島の原爆ドームなどなど。リンダは、ミリキタニと話すうちに、すこしづつミリキタニの過去を知ることとなる。
やがて、リンダの献身的な努力で、かたくななミリキタニの怒り、こころの傷が、少しづつ癒されてゆく。そして、一度放棄したミリキタニの市民権が、再び獲得できるよう、リンダはあちこちに働きかける。そして、すでにミリキタニの市民権が復活されていたことを知ることになるが…。
9月8日(土)より、ユーロスペースほか、全国にてロードショー
公式サイト
文/二井康雄

ミリキタニとは、姓で三力谷。1920年にカリフォルニア州サクラメントに生まれ、広島で少年時代を過ごす。画家になるべく18歳でアメリカに渡る。時あたかも戦争の真っ最中、軍国主義の日本を嫌ってのことである。
1941年、日本軍による真珠湾攻撃、太平洋戦争が始まる。ミリキタニは、姉の家族とシアトルに在住、当然、日本人であるがゆえに、強制収容所に送られる。戦争が終わっても、ミリキタニは、ニュージャージー州の農場での強制労働に従事。アメリカ政府の忠誠テストで、すでにミリキタニは、アメリカの市民権を放棄していた。
1950年代に、ミリキタニはニューヨークにたどり着く。ホームレス同様の生活から料理人としての訓練を受けるチャンスを得て、しばらくは料理人として東海岸で働く。やがて住み込みの料理人として落ち着くかにみえたが、1980年代には、雇用主が死んでしまう。ワシントンスクエアの公園が、ミリキタニの住み家となる。ほそぼそと絵を売りながらのホームレス状態が続く。
映画は、ホームレス状態のミリキタニが、リンダという女性映像作家の努力によって、その過去があきらかになる過程を、淡々と描く。

はじめは風変わりなホームレスと、若い女性の奇妙な同居生活が紹介されるが、ミリキタニの経歴がすこしづつ明らかになるにつれて、政治的な意味合いを増してゆく。日本とアメリカの戦争によって、個人が翻弄され、抹殺されようとした経過が浮かびあがってくる。
胸に迫るシーンは多い。収容所時代に、少年から日本の猫を描いて、と頼まれて、猫を描く。その少年は収容所で死ぬ。また、市民権を回復したミリキタニが、かつての収容所を訪問するシーンがある。そこには、いかに悲惨な目にあおうと、「世界」を許そうとする一老人の姿があり、心動く。
「ミリキタニの猫」は、事実の積み重ねから、はるかに大きな意味を提出し得た作品と言える。
【story】
つい数年前の冬のニューヨーク。ホームレス同然のいでたちで、絵を書いてほそぼそと生きている老人がいる。老人は日本人のようである。絵を買わないかぎり、施しはいっさい受けない。たまたま絵を買ったことが縁で、女流の映像作家リンダ・ハッテンドーフは、この老人ミリキタニの映像を撮り始める。
そして2001年9月11日。同時多発テロの日、崩れてゆくツインタワーを前に、なおも絵を描き続けるミリキタニを見て、リンダは自宅に引き取る決意をする。
すでに80歳を超えているミリキタニは、テレビには無関心、猫と遊んだり、日本の演歌を唄ったりして、絵を描きつづけている。そして時折、「No War!」と叫ぶ。
描く絵は、収容所ふうの粗末な建物、広島の原爆ドームなどなど。リンダは、ミリキタニと話すうちに、すこしづつミリキタニの過去を知ることとなる。
やがて、リンダの献身的な努力で、かたくななミリキタニの怒り、こころの傷が、少しづつ癒されてゆく。そして、一度放棄したミリキタニの市民権が、再び獲得できるよう、リンダはあちこちに働きかける。そして、すでにミリキタニの市民権が復活されていたことを知ることになるが…。
9月8日(土)より、ユーロスペースほか、全国にてロードショー
公式サイト
文/二井康雄
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