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奥 華子

奥 華子

歌は、私の手紙みたいなものだなあって思う

2008年03月01日 掲載

奥 華子   インタビュー

  • Excite:ニューアルバム『恋手紙』、いよいよリリースですね。

  • 奥 華子:はい。1枚目、2枚目のアルバムの時は曲が出来たらすぐレコーディングだったけど、今回はライヴでしっかり歌い込んでからレコーディングが出来たので、すごく充実感があるというか、実感が持てるアルバムになりました。アレンジの面も含めて、今出来ることは全てやれたので、自信を持って「聴いて下さい!」と言えるものが出来ました。

  • Excite:作業は順調でした?

  • 奥 華子:そうですね。ツアーとレコーディングが並行していたので大変は大変でしたけど、逆にレコーディングだけをずっとやっていると、自分の中で“人に伝える”という感覚が分からなくなってしまうんですよ。自分で曲を書いているんだけど(笑)。そんな時は、路上ライヴに出て、歌ってみて確かめるんです。自分一人で100回歌うよりも、誰かに向かって1回歌った方が分かるから。

  • Excite:聴いてくれる人の存在は大きいんですね。

  • 奥 華子:私、聴いてくれる人が居なかったら曲も作らないし、歌も歌ってないですね。「音楽がすごく好きで、曲を作るのが楽しくて仕方がない!」というだけではないんですよ。そこに聴いてくれる人が居るから嬉しいんです。“自分が納得のいく曲を書いて、自分の思う自信作を作って、自分で満足する”ということも出来るでしょうけど、私にとって大事なのは、自分がどれだけ歌えているかという事よりも、“みんながどう受け止めてくれるか”なんですよね。今回は、まずライヴで歌ってその感覚をしっかり持てていたからこそ、作業も順調だったし、自信も実感も持てたんだと思います。

  • Excite:なるほど。そうやって完成したアルバムに、『恋手紙』という素敵なタイトルが付けられたわけですが。

  • 奥 華子:きっかけは、ツアーのタイトルからなんです。例えばCDは、一瞬にしてたくさんの人に届けられるメールみたいだけど、ライヴは1対1だし、すごく温もりが感じられるから“手紙みたいだな”というところから、ツアータイトルを【1st Letter】【2nd Letter】…と続けていくことにしたんです。それで、初めての全国ツアーに向けて書いた曲が「手紙」だったんです。

  • Excite:1月にリリースされたシングルであり、アルバムを締め括る重要な曲ですね。

  • 奥 華子:はい。実はあるファンの方から、「いつもCDを聴いて元気をもらっているからそのお礼に」と、その方が作ったお米を頂いたことがあったんですよ。「いつももらってばかりだから、今度は自分が作ったものを」という、その言葉にすごくハッとしたんです。“自分はなぜ歌っているんだろう?”とか、すぐ迷っちゃう人間なんですけど、その人がお米を作っているように、誰かがどこかの会社で働いているように、私は歌を歌っているんだな…と思えて、すごく前向きになれたんですよね。そんなきっかけをくれたその人に、お礼の手紙を書こうかと思ったんだけど、「いや、私がやるべきことは曲を書くことだ」と思って、この「手紙」という曲が生まれたんです。

  • Excite:歌そのものが、想いを伝える手紙であると。

  • 奥 華子:そうですね。

  • Excite:日記と違って、手紙は受け取る人がいるから書くものですよね。そう考えると、これまでのアルバムはどちらかというと、奥 華子という人が思っていること、歌っていることをリスナーから聴きに行っていたような感じがするんですが、今回のアルバムはすごく外を向いているというか、聴いてくれる人の元に音楽がやって来るような感じを受けました。ちょっと乱暴な比較ですけど…。

  • 奥 華子:確かに、言われてみてそう思いました。前作『TIME NOTE』までは、それが良いかどうかは別として、なんか被害妄想的だったんですよ。「ちょっと手を差し伸べて欲しい」じゃないけど(笑)。私は結構、内に内に…という性格なので。だからそういう曲も多かったんだろうと思うし。特に、『TIME NOTE』は“自分らしさって何なんだろう?”という事をすごく追及していたので、弾き語りにもこだわっていたし、アレンジにしても引き算でシンプルなものにしていました。“奥 華子はこうでなくちゃいけない”みたいな感じで、あまり外野を入れないようにしていたというか。でも今回は、そういう意味で足し算していましたね。「もっとこうしたい」とか、「ああいうものもやってみたい」とか、気持ちも外に向かっていました。

  • Excite:では、収録曲について、いくつか訊かせて下さい。

  • 奥 華子:ほとんどライヴで歌っているのですが、「透明傘」だけはツアーが終わった後に書き下ろしました。アルバムの全体像が見えた上で、恋の歌を書こうと思って書いたものですね。今回は、まずライヴで弾き語りで歌って伝えてきたからこそレコーディングではアレンジを加えた曲も多いんですが、こういう弾き語りの曲を入れることによって、より奥 華子らしいアルバムになったんじゃないかなと思います。「しあわせの鏡」は、初めて“誰かのため”に書いた曲ですね。大親友が結婚することになったので、式で歌いたくて。でもその子からは「違う曲を歌って欲しい」と言われて、結局、歌えなかったんですけどね(笑)。

  • Excite:残念(笑)。でもこれまでなかったタイプの曲ですよね、こういうのは。

  • 奥 華子:こんな幸せはなかったですね。私の曲はだいたい幸せじゃないんですけど(笑)、これは最高に幸せ。ライヴでも一番評判が良かったんですよ。

  • Excite:では、「鏡」という曲は?

  • 奥 華子:これはインディーズの頃から歌っている曲です。路上を始める前、自分自身が葛藤している時に書いたものなんですけど、そのままをさらけ出している。デビューしてからは、あまりこういうタイプの曲は書いていないんですよね。でもこれもライヴで人気がある曲だし、「いつかはCDにしたい」と思っていたので、今回入れることにしました。

  • Excite:「迷路」もすごく言葉が強いですよね。これはどういうきっかけで書いたんですか?

  • 奥 華子:これは、「いじめをテーマに書いてみたら?」というアドバイスがあって書いたものです。でも、初めのうちは全然書けなかったんですよ。いじめについて考えたら、すごく難しくて。だけど、自分なりにもっとテーマを広く捉えることで、大きな愛の曲として書くことが出来ました。

  • Excite:テーマをもらって書くこともあるんですね。ちょっと意外でした。

  • 奥 華子:むしろ「(テーマを)下さい!」という感じですよ。自分のキャパシティーなんて小さいものだから、いっぱいいっぱいになっちゃうんですよね。

  • Excite:そうやって書いたものと、自分の中から湧き上がるようにして書くものはどういうところが違いますか?

  • 奥 華子:内に向いているか外に向いているかの違いはあるけど、最終的にはどちらも“自分”ですからね。ただ、自分自身の気持ちをそのまま書いたものよりも、そうやってテーマをもらって広げて書いていく方が、伝わり易い場合もあるんですよね。今回はどちらかというと、“自分、自分”したものよりも、聴いてくれる人にとっての1曲1曲になったら良いなと思って書いたものばかりなんです。「鏡」は別ですけど。実体験かどうかっていうのは聴いてくれた人それぞれの受け取り方ですからね。こっちが言うことではないと思うから、色々と感じてもらえたら良いですね。

  • Excite:今回の曲をCDで聴くのとライヴで聴くのとでは、印象もまた違いそうですしね。

  • 奥 華子:違うでしょうね。弾き語りが、ある種、奥 華子の一つの要素ではあるので、その部分で感じてもらえるライヴと、サウンド的に膨らんだ奥 華子は全然違うと思います。いずれは今回のアルバムのようなサウンドをライヴで実現出来たら良いだろうなとも考えているから、そこでまた違うものも生まれるだろうし。ただ、今はまだ一人で行けるところまで行きたいという想いがすごくありますね。

  • Excite:色んな場所で歌ってきて、ライヴに対する気持ちは何か変わりました?

  • 奥 華子:プレッシャーに弱いからかな…。以前は、路上だと全然平気なのに、ホールだと、前日まで「飛行機が飛ばなければ良いのに」とか考えていたし、本番直前まで緊張で逃げ腰になっていたんです(笑)。でも、さっきお話した「気持ちが前向きになれた」ということもあって、“逃げるのではなくて向かっていこう”と考えるようになりました。

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