娯楽の中に広告を同居させる手法は、ラジオや映画の例を挙げるまでもなく定着しており、その歴史も長いものになっている。消費者が「楽しみたい」と思うもの全てがメディアと定義すれば、ゲームはすでにメディアとしての役割を果たしつつある。
最もわかりやすい例はスポーツゲームだろう。スポンサー企業がついているスポーツをゲーム化する場合、その企業がゲームに登場しないと不自然になってしまう。リアルに進化したゲームが「ひとつの世界」であるならば、その世界の中にスポンサー企業も必然的に存在するべき時代になったのだ。
また、オンラインで遊ぶネットゲーム内広告は、前回の特集にもあるように今後特に期待されるメディアとして注目されている。日々テレビを見るかのように毎日ネットゲームを遊ぶというプレイヤーは増加しており、その「世界」に広告を置いておくことがテレビCMより効果が期待できるかもしれない時代が来ているのである。
「広告入りゲーム」の過去事例
永谷園と任天堂がコラボレーションした「帰ってきたマリオブラザーズ」しかし、ゲームの黎明期には「雰囲気づくり」のため勝手に企業名をゲーム内に登場させていた事例も多く、企業広告としてゲームが利用された事例は少なかった。「アドバゲーム」が日本で初めて成功した具体例は1988年に任天堂が製作した『帰ってきたマリオブラザーズ』である。これは任天堂の看板キャラクター「マリオ」が登場する作品をベースに、永谷園がスポンサードすることで低価格化を実現、ゲーム内に「お茶づけ海苔」や「マリオカレー」の広告を表示するようゲーム内容を作り変えたもので、両社の相互的な広告となる画期的な試みであった。
その後(厳密には広告とは呼べない作品も多いが)、既存の商品をゲーム内に登場させるタイアップが増えるようになった。特にこの分野で積極的な動きを見せているのはコナミである。諜報戦略アクションゲーム『メタルギアソリッド3』に体力回復アイテムとして大塚製薬の「カロリーメイト」を登場させ、主人公がピンチの際に口にすることで商品のイメージアップに貢献した。
これからのゲーム広告
では、これからゲーム広告はどうなっていくのか。効果的な広告を打ちたい企業と、スポンサーを求めるメディアホルダー、両社を結びつける代理店、そして消費者たるゲームプレイヤー、それぞれが満足するための広告とは……? 今回は、この難しくも期待できる分野に取り組む、若き社長にインタビューを試みた。広告業界だけでなくゲーム業界も注目のインタビュー内容は次のページで。
お話を伺ったのは…
アドプレイン代表取締役社長
川村 佳央さん:かわむら よしひろ
2005年に学習院大学経済学部を卒業し、株式会社サイバーエージェントに新卒で入社。入社後は、アメーバブログなどのサイバーエージェント運営媒体の営業を担当し、ブログを活用した企業プロモーションのプランニングや、新しいコミュニケーション手法の開発に従事。
2006年9月に、株式会社サイバーエージェントの100%出資の子会社、ゲーム内広告専門広告会社「株式会社アドプレイン」を設立し、同社代表取締役社長に就任。
取材・文=罰帝 注釈=編集部
