セカンドライフには「広告という概念そのものがない」!?
――3Dの世界において、次に期待できる大きな動きとは何でしょうか?
取材中、オフィスで偶然遭遇したリンデンラボCEO兼開発者のフィリップ・ローゼンダール氏。彼がこれから3Dでネットをどう変えていくのか、注目が集まっている。
当社にとってのセカンドライフ開発とは、システムの安定、バグのない環境、ビジュアル技術の向上を目指すものです。従って、イノベーションに関しては、企業を含む住人らが主導するものであり、当社は干渉しないよう努めています。
――セカンドライフがもたらした革新とは、何でしょうか?
ビジネスの在り方に対して、影響をもたらしています。3D技術を利用して、2Dのウェブを次のレベルにまで引き上げることは、ビジネスによっては大きな前進です。
セカンドライフはゲームではなく、ウェブの全機能を駆使できる時代ではなかったその黎明期と同様、ユーザーが次第にセカンドライフの使い勝手が分かり始めたという段階のものです。機能面ではウェブのそれと全く同様であり、その点では躍進技術とは言えないかもしれませんが、セカンドライフを使いこなす上では3Dの概念に慣れる必要はあります。
――実世界における様々な要素がセカンドライフに反映されていますが、逆にセカンドライフが実世界へ与えた影響については如何でしょうか?
世の中のためになるような動きが随所で見られるようになってきています。たとえば、性的暴行や災害体験、脳梗塞からの回復など、現実世界での苦痛に対処する自助グループが次々と誕生しています。こうしたグループの参加者らは、自身が経験した精神的苦痛を共有することで、他者の救済に努める人々です。
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| セカンドライフ内では、全米がん協会が寄付を集めた。 |
セカンドライフ内の自助グループによる体験は、現実を反映するものであり、世界のどこからでも問題に立ち向かえる点で素晴らしい動きといえます。
また、先にお話した大学機関での研究活動も大きなメリットになっています。中でも教育の模擬実験、バーチャル授業を通じた教育は、エンターテインメントの域を越えたものになっています。
この他にも、世界中の人々が混在する環境にあって、なりたいもの、欲しいもの、したいことを自由に実現しながら、政治的な境界線を逸脱できる点でも意義がある。実世界に見られる文化的なギャップは、恐らくセカンドライフの世界には存在しないのではないでしょうか。
――セカンドライフの中で、大統領候補が選挙運動を行う可能性があるという話を聞いた*のですが、それは共和党、民主党のいずれでしょうか?
政党を問わず、誰でも受け入れるというのがセカンドライフです。ただ、将来的にはセカンドライフをタウンホール・ミーティングの場として、また政治家にとっては支援を確保する手段として捉える向きがさらに強まると思われます。これは、ブログの世界で見られた動きと同じです。
――カスタマーサポートや教育目的でセカンドライフを活用する企業は、今後増えていくと思われますか?
セカンドライフの中で顧客への質問に回答する方針を検討する企業は増加傾向です。模擬実験やサポート機能を付加すれば、電話やウェブよりもセカンドライフの中でもっと多くの質問に対応することも可能です。例えば、カスタマーサービスの担当者がセカンドライフを通じて顧客とミーティングの場を設け、製品の使い方や修理方法等を実演するほうが、言葉で説明するより効果的なはずです。
――近年の媒体はいずれも広告だらけという広告クラッター*の問題がありますが、セカンドライフについてはどうでしょうか?
セカンドライフの世界においては、企業があるスペースに広告を出したいと思っても、まずその土地の所有者の許諾を得なくてはいけないため、広告の概念そのものが存在しません。
セカンドライフの世界では、広告主はユーザーが自由に出入りすることのできる島々を所有することになります。ですから道を行き交う人々に強制的に広告を見せる必要はありません。もちろん、今後、このモデルが変化する可能性はあります。
セカンドライフの土地所有者に対し、広告料を支払うという申し出があった場合、それを喜んで受け入れるか、毛嫌いして拒否するかについては、個人レベルで意思決定すればいいんです。
※上記記事部分を含む取材の様子を動画でご覧いただくこともできます。テキストと動画は、それぞれ多少の編集の差があり、それぞれにオリジナルの情報がありますのでお楽しみください。
SecondLifeが現実に与えた影響 広告に対する考え他

