docomoのCMソングで話題を呼んでいる『Wherever you are』。この透き通った美しい声が印象的なバラードを歌っているのが、現在若者を中心に圧倒的な人気を誇るバンド、「ONE OK ROCK」(通称ワンオク)だ。
CMに起用されたこの楽曲がきっかけで、それまでワンオクに親しみがなかった40代、50代のファンも増えているという。

カリスマ性のあるVo.TAKAのパフォーマンスと歌唱力、パワフルで疾走感のある楽曲とエネルギー溢れる楽器隊。洋楽の影響を多分に受け英語詞を多用しつつ、そこに日本語の言葉遊びを融合させた歌詞などに定評がある。その詞のほぼ全てを手がけているのが、Vo.のTAKAだ。

両親から受け継いだ音楽の血


TAKAといえば歌手の森進一と森昌子夫妻の長男として生まれた音楽界のサラブレッド。さらに、弟もロックバンド「MY FIRST STORY」のボーカルHiroとして活躍するなど、兄弟そろって音楽の血を受け継いでいる。

ジャニーズ事務所所属、「NEWS」時代


そんなTAKAだが、かつてはジャニーズ事務所に所属していた経歴を持つ。2001年、当時13歳だったTAKAは、ジャニーズ事務所に入所。
その後、2003年9月には「NEWS」の結成メンバーの1人として抜擢され、すぐにCDデビューを果たす。ジャニーズ時代から歌唱力には定評があり、たびたびソロで歌う機会に恵まれていた。

当時は、まだNEWSに山下智久、錦戸亮、内博貴、草野博紀が在籍しており、とくにJr.時代から人気があった山下、錦戸、内らが目立つ存在だった。そんななか、突然こうした人気メンバーの中に加入させられたTAKAに対して、疑問を感じるファンも少なくなかった。

そのため、何かにつけて「親の七光り」と批判され、しばしば本人の実力とは別のところでネガティブな評価を受けることも多かったという。恵まれているからこそ不遇の時代となってしまったのが、このジャニーズ時代だったのだ。


ジャニーズ自主退所


華々しくデビューしたのもつかの間、デビューからたった3カ月後にTAKAは自主退所を申し出る。せっかくNEWSの一員というポジションを得た彼を応援していたファンとしては、やるせない気持ちだっただろう。

その後、アルバイトをしながら音楽学校に通い、バンドを組むこととなる。これがTAKAの大きな転機となった。楽聖時代の仲間とバンド活動を続け、ライブを行うなかで、現在のワンオクのメンバーであるToruがTAKAのステージを目にし、その歌唱力に目をつけたのだ。

何度断られても勧誘し続けるToruに折れたTAKAは、正式にメンバーとなることを決意したという。
2005年にToruを中心にバンドが結成され、そこにTAKAが加入するかたちで「ONE OK ROCK」は始動した。

結成から5年で日本武道館、7年目には横浜アリーナ、そして8年目にはヨーロッパとアジアで単独公演を果たす。その後も2日間で約6万人を動員した横浜スタジアムでのライブ、アメリカでの活発な活動など、その躍進は目覚ましい。

ジャニーズ時代に「親の七光り」と口走った人は今、自力で努力し、彼にしか作れない音楽で人々を熱狂させるさまを見て、どう思っているのだろうか。
(野中すふれ)