2015年9月より放送中の『じゅん散歩』(テレビ朝日系)が人気を博している。高田純次が東京近郊を散策しながら地元の人々と交流する『じゅん散歩』は、地井武男の『ちい散歩』・加山雄三の『若大将のゆうゆう散歩』に続く散歩シリーズの3作目。

『じゅん散歩』は、前2作からの中高年ファン層に加え、高田のテキトー発言を聞きたい若者のファンも獲得している。

「こんにちは、ジョージ・クルーニーです」と挨拶しながら和菓子屋に入っていったり、ベビーカーに乗った幼児に「お嬢さんは大学生?」とたずねたりと、軽快な素人いじりを繰り出す高田の散歩姿はネット上でも好評だ。高田のこの芸風の原点は、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)にあるといってもいいだろう。

素人いじりインタビューの原点「いかにもシリーズ」


『元気が出るテレビ』が放送されたのは1985年~1996年にかけて。番組内の数ある人気コーナーの中でも、高田が街に繰り出して素人にインタビューするオープニングコーナーは番組名物だった。

オープニングコーナーのひとつ「いかにもシリーズ」は、街を歩く人を高田が勝手に「いかにも○○」と決めつけ「すみません、○○ですか?」と質問するというもの。
スーツにハットをかぶったサラリーマンがいれば「すいません、アンタッチャブルですか?」と呼び止める。
ちなみにアンタッチャブルとは、映画『アンタッチャブル』でケビン・コスナーが演じた刑事の服装のことを指している。しかし、そんなことを突然いわれても意味のわからないサラリーマンはあ然とするしかない、というのがお決まりのパターンだった。

他にも、「すいません、エルム街ですか?」(ボーダーがらのセーターにハットをかぶった人)・「すいません、西郷どんですか?」(眉毛が太くて太っている人)など、高田は次々とテキトーなインタビューを決行し、道行く人を困惑させた。

まさに修羅場! 高田純次も恐れた「ミスターパンチパーマを探せ」


そんなテキトーインタビューの達人高田が、「怖い」「こんな仕事は一度きりにしてほしい」と語ったオープニングコーナーが「ミスターパンチパーマを探せ」である。場外馬券売り場に出かけ、パンチパーマの男性に次々と話しかけるというものだ。
現在は見かけることも少なくなったが、当時はパンチパーマといえば怖いお兄さん、というのが相場の時代。
ましてや場外馬券売り場にはガラの悪い人が多かった。

高田は、次々と「すいません、パンチパーマですか?」とインタビューを試みるも、「うるせえなコノヤロー!」「ひっぱたかれえてーか!」などと怒鳴られてしまう。しかしよくよく考えてみると、パンチパーマの人に「パンチパーマですか?」と質問しているのだから、馬鹿にしていると思われても無理はない気もする。

怖い系の人にまでインタビューを行うことで、高田の素人いじりのテクニックに磨きがかかっていったのは間違いない。『じゅん散歩』で見せるテキトーだけど必ず笑える、誰もを煙に巻くような高田の素人いじりの原点は『元気が出るテレビ』にあったといえそうだ。
(近添真琴)

※イメージ画像はamazonより適当教典 (河出文庫)