東京駅の「銀の鈴」からはかつて鈴の音が…
(上)現在の「銀の鈴」(下)銀の鈴広場
東京の玄関口「東京駅」。乗り入れている路線は多いわ出口も多いわで、何度利用しても迷ってしまう巨大な駅である。


そんな東京駅の待ち合わせ場所と言えば「銀の鈴」。八重洲地下中央口の改札内という、ちょっと分かりにくい場所ではあるものの、駅内のあちこちに案内が表示されているので利用したことのある方も多いのでは。

それにしても「銀の鈴」って何なんだろう…。渋谷の「ハチ公」ならストーリーも知っているし、そこにある必然性もわかる。六本木のアマンド前、有楽町のマリオン前とか、立地条件などで徐々に待ち合わせ場所になっていったというのとも全然違う。「銀の鈴」に行くとそこにあるのは巨大な「銀の鈴」である。
考えれば考えるほどよくわからない。

その誕生秘話を調べてみると、昭和39年の新幹線ひかりの運行開始や東京オリンピック開催に伴って東京駅の利用者数が激増したことがそもそものきっかけだったようだ。当時、東京駅の乗客助役だった関口さんという方が、待ち合わせ場所として「巨大な銀色の神社鈴を吊り下げたらどうだろう」というアイデアを思いつき、その案が駅長にも認められ、昭和43年に設置されたとのこと。

設置当初の「銀の鈴」は、竹で作った骨組みの上に和紙を貼り、その上に銀紙を貼るという、言わばハリボテのものだったが、内部にスピーカーが入っており、そこから絶え間ない鈴の音が流れていていたというから驚き! その後、鋳銅製の「銀の鈴」が駅の地下にある「東京駅名店街」から寄贈され現在に至るという(現在の鈴は3代目で昭和60年にやはり東京駅名店街から寄贈されたもの)。

待ち合わせ場所に「神社鈴」といういきなりな発想といい。音が出るという奇抜さ(鈴の音は昭和53年までの10年間流れていたという)といい、なんだか「銀の鈴」が好きになってきました。
(スズキナオ)