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「ひょんなこと」の「ひょん」を探しに行った

上/これが「ひょん」の木の葉っぱ。虫が入っているというこぶが目印です。下/穴のあいた葉を吹いてみる。つき合わされた撮影者(ダンナ)も、少しあきれ気味でした。

「ひょん」を、探しに行くことになった。

「ひょんなこと」の「ひょん」の語源を調べるうち、「凶という字の唐音(江戸時代に中国から伝わった語の読み方)」説や、「江戸時代、柞(いすのき)という植物のことを『ひょん』と呼んだ」など、諸説あることがわかった。
ただ、その「いすのき」という木がわからない。
これは、「葉に大きな虫こぶができて、子どもたちがそれを笛にして遊んだ音から、方言で『ひょんのき』といった」とか「虫が抜け出した穴を吹くと『ヒョウー』という音がしたから」とかいうが、どんな木なのかもどんな音なのかも、まったくもってわからない。
「ヒョウー」って、どんな音だ? 『ピューと吹く! ジャガーさん』(うすた京介)なら、知ってるだろうか?

ひょんなことっていうくらいだから、ずいぶんと腰砕けな音かもしれない。ぜひ聞いてみたい、「ひょん」な音を!
ネットで調べると、都内に「いすのき」がある場所はいくつかあるようで、その1つ、「東京港野鳥公園」を訪ねることにした。

8月半ばのクソ暑い平日、午後3時。京急の平和島駅で降り、京急バスに乗った。公園に着いて、受付のおじさんにせっかちに、
「"いすのき"ってどこにありますか?」
と聞くと、詳しい場所を教えてくれた。公園内に2〜3本生えているという。
鬱蒼と茂る木々の間の細道を歩くと、四方八方から頭がガンガンするほどセミの大音量が響く。さっきまでは立ってるだけで汗がダラダラ出るほど暑かったのに、公園内はひんやり涼しい。客は他にカメラを持った中年男女一組がいただけで、セミの声以外は何も聞こえない静寂だ。
途中、道路を横切るかたちで橋を渡ると、周辺にたくさんの倉庫が見え、上空を飛行機が通過していった。都内にこんな場所もあったんだな、と不思議な気持ちになる。
教えてもらった場所に到着し、見回してみると、葉っぱにゴツゴツした「虫こぶ」のある木が見つかった。だが、そのグロテスクな外見をいざ目の前にすると「これを本当に吹くのか」と、いまさら腰がひけてきた。が、冷静に資料を読み返すと「虫が抜けた穴を吹く」とあった。よかった、虫の入った穴を吹くんじゃないですね。

気を取り直して吹いてみた。
「ぼー」だか「びゅおー」だか、単に穴を風が抜けていく音だけがする。これって、虫食いの穴でなくても、同じ気がするんだが……。角度の問題かと思い、口に穴がフィットするように吹いたりしたが、やはり音は、「ぼー」だか「びゅおー」だか。私は何をやってるんだろう。力が抜けてきた。むなしい思いで、もう一度「ぼー」。
由来として納得できる音か、私が下手なのかは知らないが、「ひょんな音」は、予想以上に腰砕けで、むなしい響きの音なのだった。
(田幸和歌子)

2005年8月26日 00時00分

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