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『NANA』風味で「もりのくまさん」を歌う

少女マンガ風モノローグは、いろんな世界を切なく見せる魔法の手法かも。「うさぎとかめ」なんかでやってもいいかもしれません。

「ねえナナ あたし達の出会いを覚えてる? あたしは運命とかかなり信じちゃうタチだから これはやっぱり運命だと思う」
これは、映画もマンガも大ヒット中の『NANA』の有名なモノローグ。
もともと「あたたたた」とか「かめはめ波〜」なんて少年マンガばかり読んできた自分にとって、少女マンガのモノローグはポエムのようで、ちょっぴり気恥ずかしかったりする。だが、作品の余韻、切なさを盛り上げる大切な要素が、このモノローグだとも思う。

そこで、ふと「この手法で聞きなれた歌を歌ったら、新たな世界が見えるかも」と考えた。題材に選んだのは、2人(?)の微妙な関係が気になる童謡「もりのくまさん」だ。

<ねえ、くまさん。あたしたちの出会いを覚えてる? 花がいっぱい咲いてる森の道で、あたしたち、出会ったよね>
こんな調子で続けていきます。
<ねえ、くまさん、覚えてる? あのとき、あなたが言ったこと。突然、青い顔で「お逃げなさい」なんて言うから、あたし、わけもわからず駆け出していたよね……。
思い起こせば、なぜあなたがあのとき、あんなことを言ったのか、今でもよくわからない。もっともあなたのことだから、聞いてもはぐらかしていたと思うけど。でも、そんなあたしのこと、あなたは追いかけてきてくれたよね。
『これ、落し物』って、白い貝がらの小さなイヤリングを渡してくれたあなたが、真っ赤な顔で体を小さく丸めて。あのとき、あなたをとってもいとおしいと思ったんだよ>
……ついてきてますか?
<能天気なあたしは、お礼にできることなんて、歌うくらいしかなかったから、まだ歌詞のついてなかったあの曲に、でたらめでラララをつけて歌ったんだ ♪ラララララララララ ラララララララララ〜>

どうです? 原曲のほのぼののんきな雰囲気が、ちょっと切なく変わりませんか? これをマンガ誌編集者であり、『NANA』の個人的な大ファンでもある友人に見てもらうと、こんなコメントがあった。
「NANAモノローグの基本、(1)現時点で離れ離れになっている『あなた』への語りかけ (2)意味深(思わせぶり) (3)具体的な出来事やシチュエーションは全く分からないが、アイテムをちりばめて分かったような気にさせる、ディティールまぶす方式、が見事に体現されています。『白い貝殻の小さなイヤリング』は、NANAにおけるイチゴ柄のグラスのようです」

さらに、彼女が指摘する「NANA風」ポイントは以下である。
「具体的にいつなのかどんなことだったのか、が全く見えない、『あの』でぼかして想像させる『あの』がポイント。また、『〜よね』の語りかけが続いて、最後に『歌ったんだ』と情感をこめて言い切る、語尾のポイントもおさえられています。これに、『意味なくリフレイン』と『意味なく疑問形』(あたしはほんとにナナのこと、わかってあげられてたのかな、みたいなヤツ)が加われば、さらに良かったかも」
ただし、NANA風モノローグのいちばんの上手さは、「会いたいけど、会えない」、悲劇的な結末を匂わせる演出だとか。
あたしとくまさんの離れ離れ観は、まだまだ未熟でした……。
(田幸和歌子)
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2005年9月26日 00時00分

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