元祖お金入門? 子ども銀行を知っていますか
資産運用してますか?
村上ファンドの村上世彰氏やライブドアの堀江社長の影響もあって、近頃では株取引をする小学生も珍しくない時代。小学館の『小学六年生』の11月号特集は「小6から始めるお金入門」。
何だかすごい時代になったなぁと思って、色々調べてみたところ、実はお金にまつわる教育というのは、かなり昔から行なわれていたのである。

思い起こせばン十年前、小学生だった頃、学校には「子ども銀行」と称するものがあった。これは毎月決まった日に、金融機関の人が学校にやってきて、学校内でお金の預け入れや引き出しができるというもの。私の学校では、銀行係りというのがあって、高学年の人たちが実際の金融機関の窓口と同じようにお金の出し入れをしていた。通帳は、もちろん本物で実際の金融機関でも使えるものだ。
当時は、子どもだったので平気で10円、20円なんて金額を貯金して、いい気になっていた。
物価を考慮しても10円の貯金ってのはどうなのか、という感じだが、私としてはお金のやりとりが楽しくて、ただ毎月参加していた。今の小学生だったら絶対恥ずかしくて学校に10円持っていって貯金はできないだろう。

全国銀行協会によると、子ども銀行は昭和23年に当時の大蔵省(現在の金融庁)と文部省(現在の文部科学省)の通達によるもので、金融のしくみを教え、子どもの頃から貯蓄を実につけさせようという教育の一環として、金融機関の協力を元に行なわれてきたものだという。積極的に活動をしている学校には、優良子ども銀行として表彰する制度もあった。昭和32年には、福島県で5校が大蔵大臣表彰、さらに12校が知事表彰を受け、県下の預金残高は、3億2,000万円にも上ったという記録がある。

最近でも、子ども銀行が存在するのか金融庁に問合せたところ、運用指針は平成16年5月に改訂され廃止になったとのこと。

金融庁の相談室の担当の方の話では、低金利などの影響もあり、コストの面で金融機関の負担が大きいことも指針廃止の背景にはあるという。
「指針が廃止されても、継続して続けている学校はあるかもしれません。でも子ども銀行の運営は、学校に出向く人件費、子どもに渡すノベルティーなど金融機関の持ち出しとなる場合が多く、協力いただいている金融機関の方々の負担が大きくなっているというのは事実です」

子ども銀行は、貯蓄に重きをおいたものだったが、これからの金銭教育はお金を増やす投資、無駄遣いをしない、悪徳商法にだまされないなど、金銭トラブルに巻き込まれないための知識も必要と金融庁では新たな教育方法を模索しているという。

少し前までは、日本は一人当たりの貯蓄高が多い国だったが、金融庁が今月発表した「家計の金融資産に関する世論調査」では「貯蓄を保有していない」世帯が22・8%も。子ども銀行の衰退とともに、貯蓄の保有率が減ったとは思わないけれど、ちょっと複雑な気分です。
(こや)