自分の無知を改めて思い知らされたこともあって4月になると「ぞうきん」のことを思い出してしまう。
そこで、10年目にして改めてぞうきんについて調べてみることにした。
本当に、みんな学校に持っていくぞうきんを買っているのだろうか? 小・中学生を持つ知人数人に聞いてみると、「ぞうきんは買う」という意見が圧倒的だった。「タオルを買って縫うより、売っているぞうきんを買った方が安上がりで楽」というのが購入の理由。
では、一体いつ頃からぞうきんは売られているのだろうか?
ぞうきんの製造元を調べてみると和歌山県海南市のメーカーが多い。調べてみると、海南市はトイレ、バス、キッチン用品などを生産する家庭用品産業が地場産業となっている。
「ぞうきんは大分前から作っていますよ。私は終戦(1945)の年に小学校5年生だったけどその頃はもう、販売はしていたねぇ。今はほとんどが中国で作られているけれど、当時は内職で作ってたよ。私自身は学校に持っていくものは自分の家で縫ったもので買ってはいないけど。いつから学校用のぞうきんを販売するようになったのかはちょっとわかんないねぇ」
製品としてぞうきんが50年以上前からあったというのは新たな発見だったが、学校用ぞうきんのことは分からなかった。
そこで、海南市のぞうきんを作っているメーカーにも問い合わせてみることに。
「資料がないので正確にはわかりませんが、私が知る限り20年以上前からありましたね。ネーム入り、ヒモつきは10年ちょっと前くらいからでしょうか。売れる背景には女性の社会進出や社会情勢というのもあるでしょうね。家事の軽減というか、ぞうきんひとつ縫うのにわざわざミシンを出すのは大変ですものね。でも、学校によっては買ったのはダメというところもあるのかもしれませんが」とアイセン工業株式会社の抜井さん。
安くて手軽なものがあればそれを利用するに越したことはない、ということなのかも。
新品のぞうきんなら子供だってよろこんで掃除するだろう。「牛乳を拭いた後のぞうきんは臭い」というのはもはや昔の話と言えそうだ。
「ぞうきんのような裾物は余り生地を使うものもありますし、余った糸を織り上げて縫い合わせる場合もあります」という抜井さん。どうやらぞうきんは資源の有効利用にも役立っているようだ。抜井さんのこの言葉を聞いてちょっとほっとした。