イスの背もたれを倒すとき、声かけますか
一声かけなくとも、後ろの人への配慮をお忘れなく。
年末年始の帰省など、移動の多い季節。

新幹線などを利用する機会も増えるが、ちょっと疑問に思うのは、イスを倒すときに後部座席の人に声をかけるかどうかということだ。


これは「マナー」と聞いたこともあり、自分では、「イス、倒して良いですか」と一声かけるようにしているのだが、きまって相手には「?? あ、どうぞ」と、一瞬の戸惑い・怪訝そうな表情の後、そんな返事をされる。
一方で、自分が前の座席の人に一声かけられたことは、ほとんどない。
もしかして、「一声かける」行為って、マナーではなく、むしろ変わった人に思われたりするもの?

JR東日本広報担当者に尋ねると、
「マナーとして、車掌が言ったり、アナウンスで呼び掛けることはしていないですね。これはお客さま同士で考えることで、会社として決めることではないですから。ただし、もしかしたら、現場の判断では注意があったり、別の地域ではしている可能性もありますが……」
とのこと。
会社として、背もたれを倒すときについて話し合うことなどは、特にないそうだ。


そこで、JR東海の広報担当者にも聞いてみたところ、やはり「呼びかけは特にしていない」という回答があった。
「そういったことに関する苦情も特に聞くことはないです。なんとなく『一声かけて』みたいなことが、お客さまの間で自然にできてきたことなのでは?」

ただし、調べてみると、実際には「前の座席の人が背もたれを突然倒したせいで、飲み物がこぼれ、後部座席の人とトラブルになるのを見たことがある」「一声かけるよう、ちゃんとアナウンスしてほしい」などの声も、やっぱりあるよう。

そもそも、「マナー」は、命令や注意によって守られるよりも、お互いに相手のことを思いやることから生まれるもの。「こうすべき」というものではないのかもしれない。
ただし、「一声かけ」なくとも、背もたれを倒すことで、後ろの人に迷惑がかからないか、気配りをすることは必要なこと。
互いに気持ちよく過ごせるように、後ろへの配慮は、お忘れなく。
(田幸和歌子)