人の顔と名前、どう覚えてますか?
これだけ個性的な「顔」ぞろいだと、私もすぐに覚えられるかも。
先日、「サル山のサルの見分け方」という記事を書いたが、自分などは人間の顔と名前すら覚えるのに、日々、四苦八苦している。
人はどうやって顔と名前を覚えるものなんでしょう? 

携帯電話のメモリー700件が常に埋まっているという、六本木のバー経営者は言う。

「まず名刺の裏に、その人の似顔絵や誕生日、会話の内容をかいたり、何でも落書きします。『メガネ・ハゲ』『アニメ好き』とか、とにかくその人の外見の特徴や、趣味を書き込む。書くと、やっぱり覚えますよ」
「芸能人と同じ名前とかだったら、まずそれに関連付けて覚えます。あとは、会話で気になったポイントとか、誰に似ているとか。特徴はムリに覚えようとしなくても、自然と覚えてしまいますよ」と言うのは、小学校の教諭。

一方、ある美容師さんは
「名前を聞いたら、すぐその場で何度も『○○さん』と呼びかける。
会話中に、相手の名前を何度も盛り込んで話す」と言う。
これは、自分自身に覚えこませる意味もあるし、相手との距離を縮めるためでもあるのだとか。
「あとは、『登山好きの鈴木さん』『居酒屋○○で会った佐藤さん』『群馬出身の井森さん』『○○さんと仲良しの青木さん』といったように、地名・趣味・職業などと結び付けて、1セットの名前として覚えてしまうこと。名前や顔って、単品では覚えにくいでしょ? 一緒に来た人やグループ、場所などと関連付けてセットで関連付けて覚えておくと、度忘れしても、案外ラクに思い出せるんですよ」

そういえば、ある脳の先生が、こんなことを言っていた。
「『トシをとると新しいものを覚えられない』という人も多いですが、子どもがポケモンのキャラクターを丸暗記するような記憶力と比べてませんか? 子どもはカンタンにモノを覚えるように感じますが、実は根気よく同じことを続けているだけのこと。大人になると、そうした根気がなくなっていることもあるんです。
でも、かわりに、大人は『丸暗記』よりも、いろいろな物事を関連付けて理論的に記憶する『連合記憶』が得意になります。つまり、子どもの頃とは得意な『記憶の種類』が、変わってくるということです」
つまり、大人の場合、物事の「リンク先」を増やすことで、記憶を引き出しやすくなるということ。

顔と名前の覚え方についても、顔―名前の単一の結びつきだけでなく、リンク先が多ければ多いほど、「誰だっけ?→西荻の焼き鳥屋さんで会った?→あのとき、一緒にいたのは○○さん→○○さんは「新婚さん」って紹介してくれたな→奥さんは確かピアノの先生→自宅で山田音楽教室をやってるって→山田さん!」といった具合に、その人のことを思い出しやすくなるということ。

ただし、これにはまず大前提として、「顔と名前」だけでなく、リンク先としての情報をできるだけ得ようとする努力が必要でもある。相手の話をよく聞くこと、相手に興味を持つことが、人の顔と名前を覚えるための必須条件なのかもしれません。
(田幸和歌子)