ちょっと怖い気もするけど好奇心もそそる“刑務所ホテル”。
ホテルは正真正銘の元刑務所だ。けっして“刑務所風”ではない。もともとは1859年に男性囚人を収容するために建てられたもので1926年までは刑務所として、その後1989年まで波止場の黒人労働者のための宿泊所として使われていたところである。
目印は城壁のような壁と4つの塔。
しかし、ドキドキしながら中にはいると、当時の面影はまったくなかった(当たり前か)。フロントも一般的なホテルとなんら変わらないし、客室も少し殺風景ではあるが設備にまったく問題はない。実に快適に、そして何事もなく、無事に3泊を過ごすことができた。まあ逆に当時の雰囲気そのままだったら、怖くて泊まれないか。
もうひとつ面白いことがあった。実はホテルは、ケープタウン大学の経営大学院の敷地内にあるのだ。もちろんホテルとは別の建物ではあるが、朝食場所へ行くには大学の建物を通っていく(外から周るまわることもできるが)。案内表示には「レクチャーシアター」など大学の施設名のなかに、「ホテル×~×号室」などがさりげなく混じっている。廊下にある学生向けの掲示板を眺めていると、まるで学生時代にタイムスリップしたよう。
このユニークさだけでも泊まる価値は大いにあるが、それに加えて立地も抜群だ。
南アフリカといえば、2010年のワールドカップ開催国でもあり、なにかと注目を浴びているところ。ケープタウンに行く機会があれば、一度泊まってみてはいかが?
(古屋江美子)