冬の韓国の、代表的な屋台スイーツといえば「ホットク」だ。もちもちの生地の中にあつあつの餡ジャムが入った、韓国風おやきとも言えるこのお菓子。
以前コネタでもお伝えしたとおり、日本でも新大久保などで売られ、韓流スターと並び熱狂的なファンを集めている。

ところでホットクを家庭で作れる「ホットクミックス」なるものが、韓国のスーパーで売られていることをご存知だろうか。屋台でならひとつ1000ウォン前後で気軽に食べれるホットクを、わざわざ3000ウォンほど出し家でつくるというのも面倒な気もするが(1箱で約10個作ることができる)、日本の友達へのお土産にはいいのではと購入、まずは自分で作ってみた。

ホットクミックスは数社から発売されており、中には「緑茶ホットク」「中国式ホットク」といった変化球ホットクミックスもあるが、私が選んだのは一般的な味の、CJ第一製糖社から発売されている「チャプサルホットクミックス」だ。
箱を開けると、中にホットケーキミックスのような粉と、乾燥イースト菌、餡ジャムのもとになる粉、という3種類の粉末が入っている。この商品の調理法を翻訳すると、以下の通りだ。


1、ボールにイースト8g、水260ml、ホットクミックス402gを順番にいれ、しゃもじで5分ほど生地を混ぜる。冬場は40~45度のお湯を使うと良い。
2、ラップをかぶせ約30分待ち、生地が2倍になるまで発酵させる。発酵させすぎると生地がやわらかくなり、味が落ちるので注意。
3、発酵が終わったら、しゃもじで生地を真ん中に集め、ガスを抜く。油をよく塗った使い捨てのビニール手袋をはめ(素手でも可)、その上に生地(67g)を広げ、中心にジャムミックス(13g)をスプーンで乗せ、はみ出ないように包む。
フライパンの上に、包み口が下になるように乗せる。
4、焦げ目がつくまで焼けたら裏返し、焼き器(フライ返しでも可)で平たくする。1~2分ほど焼いたあとにひっくり返し、1~2分焼けば完成。低い温度で焼くと見た目良く焼ける。また、生地は1回で使い切ること。

やや、思った以上に難しそうである。
ホットケーキみたいなものと高をくくっていたら、発酵やらガス抜きやら生地は67gやら、注文が多い。

意を決して挑戦してみた。イースト菌を混ぜた生地が、いいニオイを立てながら発酵していく様子を見守るのは非常に楽しかったのだが、生地で餡ジャムを包む段階で苦戦した。手に生地がくっつき、皮が破れてジャムがこぼれてしまうのである。にっちもさっちもいかず、その状態で無理やり焼くものだから、アンコまみれの良くわからない塊に。食べられなくもないが、お店で売っているホットクとはほど遠いものになってしまった。

だがこれは、面倒臭がらず説明書どおり、手に油を塗りたくることで見事に解決、それっぽい形になった。フライパンでおそるおそる焼きあげたそれは、1つ67gのルールを守らず目分量で分けたため大きさはまちまちだが、味はまさに屋台のホットクだ。
また、屋台では油をたっぷりひいた鉄板の上で焼いているが、ためしに油なしのフライパンで焼いてみたところ、予想以上にきれいに焼けた。むしろ油なしのほうがさっぱりしておいしいと個人的に思った。

CJ第一製糖社の話によると、2006年の冬に登場したこの商品、2008年は特に当たり年であり、1日になんと約5万個が販売されるほどで、売れ行きは昨年の2倍にもなるという。不景気だから、家計に優しいこのような手作り食品が流行るのでは、と話してくれた。

うまく焼くコツを聞いたところ、「専用の焼き器を手に入れてください」とのことだ。フライパンの上で生地をぎゅっと押す時に使う、円盤に持ち手がついた形の、ホットク専用焼き器。「チャプサルホットクミックス」のおまけとしてもらえることがあるので、そのようなイベント商品を見つけたら、即買いである。

それにしても1人で10個のホットクをつくるのはヘビーな作業だったし、段取りが悪いおかげでキッチンが油まみれに。また作り置きすると味が落ちるので、すぐ食べきったのだが、それを1人で遂行するのはなかなか切ないものがあった。とはいえ、家族や友達同士でわいわいと作るなら、楽しいレクリエーションになることだろう。


韓国旅行のお土産におすすめしたい、ホットクミックス。プレゼントする時は、この記事をプリントアウトして添えていただけると、記者冥利に尽きるというものです。
(清水2000)