近年、自宅電話をNTTではなく携帯会社に変更し、携帯電話と自宅電話の請求先を1個所にするお得なサービスが浸透してきている。
料金的にかなり安くなるのが大きな魅力だが、そこには意外なデメリットもあることを、最近になって初めて知った。


一つは、「タウンページやイエローページがもらえなくなる」ということ。これらはNTTのサービスであって、自宅電話がNTTを外れて携帯会社との契約になる場合、対象外になるというのは、考えてみれば、当たり前だが、ちょっと見落としがちな点ではある。

だが、それはまだ微細なこととして、大きな衝撃だったのは、自宅電話を携帯会社にしていると、「転居手続きに2~3週間という時間がかかること」や「わずかな距離の移動でも、電話番号が100%変わってしまう」ということ。
実はこのほど、同じ区内の近所に引越しすることになったのだが、KDDIに連絡をすると、こんな説明をされた。
「KDDIで移転手続きをする場合、まず『移転元解約』を行い、改めて『新規契約』をする流れになります。そのため、一般的には手続きの期間を2~3週間いただくことになります」

なぜ「移転」ではなく「解約+契約」というややこしい手続きになるかというと……。

「こちらは、電話の加入権を設けていない会社ですので、NTTさんに問い合わせをし、『解約』と『契約』を行うことになるんです」

さらに、NTTの場合、同じ交換局内であれば、電話番号は変わらないのだが、携帯会社の場合はもともと「加入権」を持っていないだけに、電話番号が“100%”変わってしまう。
「当社では加入権を持っていないため、NTTさんに番号をいったん戻し、新規に契約することになります。極端な例ですと、同じマンション内の隣の部屋への移転であっても、お電話番号は変わることになります」
NTTの交換局も変わらない近所の引越しだったため、電話番号が変わってしまうというのは、ちょっと予期していなかった事実。
電話番号を変えない方法は? と聞くと……。
「一時的にNTTさんに戻って、そちらで移転手続きをし、同じ電話番号を使ったうえで、KDDIに戻るという方法をとる方もいます。ただし、NTTさんでも同じ番号をそのまま使えるかどうかは、確認しなければわかりませんが……」

ちなみに、NTTにうつると、1週間程度で工事・手続きが完了するが、当然、携帯への無料通話などのサービスは解除され、「おまとめ」の割引サービスもなくなる。


さらに、NTTによると、携帯会社からNTTに戻す場合、交換局内でできる作業では2000円程度、立会いが必要になる作業には1万1000円程度の「移転費用」がかかるそうだ。

電話会社を自由に選べるようになった利便性、割引プランの魅力は大きい。でも、移転の手続きなどが非常に複雑になるというリスクは、ご確認を。
(田幸和歌子)