先日、コンビニでラクトアイスを購入したら、家庭の冷凍庫に長年眠っていたような、周りに霜がビッシリついたものが出てきて、ビックリした。

ダンナが買ったチョコがけソフトも、娘が買った「ガリガリくん」にも、全く霜がかかっていなかったのだが、もしかして私の選んだものは、不人気商品……?

近年は濃厚で贅沢な「こってり系アイス」を好む人が多いため、噛んだ瞬間に、氷の繊維がキリリと縦に裂けるような脂肪分の少ない「ラクトアイス」(※自分はサクッと音を立てて裂ける表面から「霜柱アイス」と呼んでいる)がずいぶん減ってしまっているのは口惜しい限りだが、「いつの商品だ?」と袋をチェックしてみたところ、どこにも「賞味期限」がない。

他の商品もチェックしたが、アイスには「賞味期限」が書かれていないものだらけ。なぜ?

調べてみると、日本アイスクリーム協会のウェブサイトにこんな記述があった。
「賞味期限などの表示に関して、乳等省令・第7条第6項で『アイスクリーム類にあっては期限及びその保存方法を省略することができる』と定められています。公正競争規約は業界団体が定めて公正取引委員会の許可を受けたものですが、これも賞味期限の規定はありません」
アイスクリームは通常−18℃以下で冷凍保存されているため、「細菌が減ることはあっても増えることはない」などとあったけど……。

「賞味期限」を書かなければいけない商品と、書かなくて良い商品の違いって? 公正取引委員会に聞いたところ、
「食品の賞味期限の表示は農林水産省が決めています」

次に農林水産省の表示・規格課に聞いてみると、こんな説明があった。
「基本的には、通常売られている状態で品質の劣化がしにくいものに関して、『賞味期限の表示を省略することができる』としています。
『省略することができる』であって、あとは、メーカーさんに判断を任せているので、いまは、ほとんどの商品で賞味期限を表示していると思いますよ」

これは「食品衛生法」の概念と、「JASの加工食品表示基準」の概念から、決められているものというが、後者で定められた「省略して良いもの」には以下のようなものがあった。

1.でんぷん
2.チューインガム及び氷菓
3.砂糖
4.アイスクリーム類
5.食塩及び旨味調味料
6.飲料水及び清涼飲料水ならびに氷

ちなみに、飲料水や清涼飲料水の場合、現在はほとんどの商品で賞味期限が表示されている気がする。また、「氷菓」と「アイスクリーム類」がなぜ分かれているかというと……。
「消費的には氷菓もアイスクリームも同じでしょうが、『クリーム類』というのは牛乳など使っているので、かなり特殊な類なんですよ」

ところで、日本アイスクリーム協会のサイトには、「1週間前に作っても温度管理がいい加減に保管された製品より、1年前に製造していてもきちんと温度管理されて冷凍保管されていた製品の方が、品質は良い」と書かれていた。

つまり、「賞味期限」の問題ではなく、温度管理の問題のよう。でも、品質に問題がなくとも、長期間売れ残ると、やっぱり霜はつきますよね。
それに、ラクトアイス自体、濃厚なアイスよりも、霜がかかりやすい性質がある可能性もある。いずれにしろ、悲しきラクトアイス……。
(田幸和歌子)