コンビニやスーパーのアイスは、値段によって扱いが違う気がしてならない。

200円も300円もする高級アイスは、背の高い扉のケースで、いかにも高級そうに扱われてることが多い。
一方100円前後の安いアイスは、腰の高さくらいのケースに、いかにも手軽に買えますって感じで積み上げられてることが多い。

扉のケースは、選ばれしアイスだけが入れるVIPなイメージ。きっとpinoだって、モナ王だって、もしかしたらガリガリ君だって、ハーゲンダッツさんのように扉のケースに入りたい。なのに、いつも大部屋みたいなケースで、押し合いへし合いみんなと同居……。

やっぱ2種類のショーケースは、値段によって分けられてるんだろうか。大手コンビニチェーンに話を伺った。

「そうですね、値段が高いアイスと、100円前後のアイスで分けて置いていることが多いです」
やっぱりそうですか……。それで高級アイスを、より保存環境のいいケースに入れているという?
「いえ、両方とも設定温度は一緒ですので、価格が高いアイスを特別扱いしているわけではありません。むしろ扉のケースの方が、温度は変化しやすいですよ。扉を開けたとき冷気が逃げやすいですから」

えっ? 安いアイスの方がいい環境に置かれてるってこと?
業務用の冷凍ショーケースを製造しているメーカーに、詳しい話を伺った。
「冷気は下の方に溜まる性質があるので、上部分を開ける平置きタイプの方が、冷気が逃げにくい構造になっています。ただ扉のケースも、扉付近で冷気を上から下へ流し、なるべく温度が変わらないようにしているので、今は品質管理にほとんど差がないですよ」

そっか、特にどっちがいいってわけでもないんだ。


じゃあ戻って、高級アイスと安いアイスを分けている理由って何だろう。コンビニチェーンに再び話を伺った。
「さまざまな理由がありますが、価格の高い商品と安い商品が混在すると、お客様が手に取るとき、分かりづらくなってしまうことが大きな理由です。そのため、棚がある扉のケースに価格の高いアイスを、平置きのケースに100円前後のアイスを置き、お客様が選びやすくなるよう考えています。それに、棚の方に100円前後のアイスを置いてしまうと、お子様の手が届かず、取れないなんてことも考えられますしね」

もちろん扉のケースには、高級感の演出って面もある。だからそういう意味では、特別扱いかもしれない。
でも保管環境に差はなくて、どうしたらより客にとって便利か、どうしたらより売れるのかを考えた結果の区分けっていうだけ。確かにガリガリ君は、子どもの手の届かないとこに置いちゃいけないし、腰の高さのケースにハーゲンダッツを入れたら、100円だと思って買おうとする人も出ちゃうと思う。

まあガリガリ君が扉のケースに置かれたら、ガリガリ君だなんて気安く呼べないだろうし……案外今の扱いで、どのアイスも居心地がいいのかもしれない。
(イチカワ)