1杯分のカフェラテの粉や、1回分の葛根湯の粉などが入ってる、細長いスティック状の袋は、切り口がない場所でなぜか簡単に切れる。

スティック状の袋って、昔は上下のギザギザから切ってた気がする。
これが不便で、縦に切りすぎて粉をこぼしたり、切れてない部分に粉が残ったり。でも最近のは、横へキレイに切れる。

でも、どうして切れるのかわからない。切れ目なんてないし、「こちら側のどこからでも切れます」のマジックカットみたいな細かい穴も見あたらない。一体どんな仕組みなんだろう。この開封法(FCカット)を発明した、株式会社細川洋行に話を伺った。


「基本的にはマジックカットと同じ原理で、指定した折り目の開封部分に、数多くの非常に細かい切れ目が入っています。切れ目の大きさは、ミリ単位どころじゃない、ルーペでないと確認できないほどの小ささです。そのため肉眼では確認できないかと思います。この切れ目が、数ミリ×数ミリの範囲に、数百個、数千個と入っているんです」

さらに最後まで簡単に切れるよう、背張り(裏側の接着部分)にも工夫が施されている。
「背張りのシール部分にも、数ミリ×数ミリの範囲で、数百数千という細かな切れ目のかたまりを施しています。これによって、背張りの部分もスムーズに切れるんですね。
また開ける方向も、必ず背張りの向きと順方向にして開けやすくしています」

ただマジックカットとは違って、切れ目は袋を貫通させていない。FCカットは袋の一部なわけで、当然だけど微細でも穴を開けたら中身が漏れちゃう。
「FCカットは、何層かになっているフィルムの一番表面にだけ切れ目を入れて、開けやすくする方法をとっています。包装では一番外側のフィルムが、最も丈夫なんですね。そこに切れ目が入っているので、切れやすくなるんです。偶然破れてしまうことがないよう微妙な調整をしつつ、です」

FCカットが世に出たのは、マジックカットから遅れること約1年の1980年代。
実はかなり昔からある技術で、マジックカットが登場する前から、開発者は研究・試行錯誤していた。
開発の理由は、袋の形に関係なく、多くの袋を開けられるようにするため。例えばマジックカットの場合、穴を開けるから端の部分が必要になる。それがFCカットなら、袋の表面に切れ目を入れるから、いろんな形状の袋で使うことができるってわけだ。

「家の中でだけ消費されるわけじゃないですから、いつでもどこでも開けられるよう、消費者にとってストレスがないようにしたいですよね」

現在このカット法は、世界にパテント申請され、海外にも広まっている。
細やかな気配りを感じる、この日本らしいカット法は、世界に誇れる技術なのかもしれない。

(イチカワ)