洗顔や身体、さまざまな用途に使われる石鹸。今や生活必需品だが、この度、日本で初めて製造された石鹸が『磯右ヱ門SAVON』の名で復刻し、発売される。
この商品名は、1873年、横浜の地で日本初の石鹸製造を成功させた人物、堤 磯右衛門(つつみ いそえもん)からとったものだそう。

まさに、国産石鹸のルーツ。今回、発売に至ったきっかけは? さっそく『磯右ヱ門SAVON』の発売元である(株)エクスポートに聞いてみると……。

「もともと、磯右衛門石鹸は横浜の宝であり、横浜発祥の文化として復刻したいと思っていました。実は以前、横浜博覧会(1989年)で一度、横浜の地元の皆さんが、この石鹸を復刻した経緯があったのですが、それもなくなり、その後は開港資料館で型を見られるだけとなっていました。今回、堤 磯右衛門のご子孫である堤 真和氏が、やはり復刻を望んでおられることを知り、それならぜひ、つくりましょうということになったのです。
弊社、堤さん、横浜開港資料館、そして、玉の肌石鹸さん誰が欠けてもできなかったプロジェクトでした」

ちなみに、製造している「玉の肌石鹸」は1892創業の老舗石鹸メーカー。『磯右ヱ門SAVON』は昔ながらの本釜焚きという製法により、丁寧につくられているそう。

また、『磯右ヱ門SAVON』は石鹸表面のレリーフも、とても美しい。昔のものを復刻するにあたって苦労も多かったと思うが、特に大変だったこと、こだわった点はどんなところだったのだろう?

「資料館の型から石鹸の製造型をとるのが大変でした。これは、別でおつきあいのある、地質の専門家で化石を扱っていらっしゃる博士に、型どりの技術指導をお願いしました。また、こだわったのは香りですね。
この石鹸に合う香りはなにか、何度も議論し、サンプルをつくっていただき、誰もが『懐かしい』と感じる『母の移り香』を実現させました」

たしかに、香りは重要! 試行錯誤し完成させた『磯右ヱ門SAVON』のやさしい香りは、衣装ケースに入れて、ほんのり移り香を楽しむのにもおすすめだとか。

また、パッケージは堤家が所蔵していた、いくつかのラベルの中から3つを選び、デザイン要素に取り入れたという。ラベルデザインは今みてもなお、カッコいい。タイムスリップしたかのような気分も味わえそうだ。

『磯右ヱ門SAVON』は、エムエムみやげ、赤レンガデポ、エクスポート(大さん橋内)マリンタワーショップ、神奈川県立歴史博物館、横浜市内の百貨店などのほか、オンラインショップ メイドインヨコハマでも17日(土)から発売。
(田辺 香)