2009年末に公開された映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』。悪のウルトラマン、ウルトラマンベリアル率いる100体以上の怪獣軍団とウルトラ一族が、ダイナミックなバトルを繰り広げて大ヒット、2010年末には続編にあたる『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』も公開されたばかり。


この映画での熱血系バトルノリや、主人公のウルトラマンゼロが「テクターギア」というアーマーを装着した姿なんかを見て、90年代なかばに『コミックボンボン』で連載されていた漫画『ウルトラマン超闘士激伝』のことを思い出した。

この作品は、ウルトラ兄弟や怪獣、宇宙人、さらに防衛チームなどがトーナメント武闘会で最強の戦士を決めるために闘うというのがストーリーの背骨になっているが、そのバトルがまさに90年代的というか、一言でまとめると、「ウルトラマンでバトルマンガをやっちゃった」といった感じ。
まずウルトラ兄弟やレッドキングやゴモラなどの強豪怪獣たちが、「装鉄鋼(メタルブレスト)」とよばれる『聖闘士星矢』ばりの装甲具を身につけていたり、ビートル機がロボット形態に変形したり。ウルトラマンが気を最高に高めて繰り出す大技「スペシウム超光波」も、光線技というよりは気功波のようなのもまた、バトル漫画的だ。

また、序盤からのライバル・メフィラス星人は、ここでは「メフィラス大魔王」を名乗り、マントをまとった孤高の武人として描かれているのだが、中盤に登場する新たな強大な敵を迎え撃つため、まだ小さい子供だが、秘められたパワーは最強レベルという設定のウルトラマンタロウを半ば強制的に拉致し、鍛え上げていく。続く第2部・ヤプール編に登場した敵のボスが、丁寧すぎる口調で最初は浮遊するマシンに乗っていたりとか、ちょっと『ウルトラマンでド○ゴ○○ール』!? なノリもあったりもするのですが。
秘められた力が覚醒したら、全身が輝いちゃいますし。
しかし、スピード感あふれる描写やストーリー運び、それから原作の設定の活かし方や引用、遊び方がまた絶妙(コネタも満載)で、ウルトラの世界観を壊さずに“友情・努力・勝利”を軸にしたバトル漫画を成立させているところに、思わずウマいと言ってしまう。
最強の怪獣の一体ゼットンがさらにパワーアップして“ハイパーゼットン”になったりするときの(名前もなんかカッコイイ)、強さの足し算の方向なんかもまた、バトル漫画のハラハラドキドキ感そのままだ。ザラブ星人の必殺技「旋風光輪波」のネーミングのカッコよさとかダダの「仮面の舞」の華麗さも、本編にはない魅力かと。

結局何が言いたかったかというと、この熱いバトルノリが、現在の劇場作品につながっているんじゃないかということ。

そんな本作、当時なぜかコミックスが途中で刊行が中断されたままそれきりになってしまい、連載時にも読めていなかったので、その後のストーリー、結局どうなったのか長年気になっていた。
映画を見てこの漫画のことを思い出したところ、単行本未刊行ぶんも含めた「完全版」として、復刊ドットコムから復刊されているではないか。

……ずっと見つからなかったピースが、ようやく埋まったような気分。最終第4部・エンペラ星人編では、若い戦士のウルトラマンネオスとウルトラセブン21をメインにしたストーリーで、タロウも立派な青年に。そうか、こうきたかと思う一方、さらに続きが気になってしまう最終回でもあった。
また新たにピース探しが始まったような気分も、ちょっとある。続編、出ないッスかねぇ……。

(太田サトル)