スペイン南部アンダルシア地方にある街、ロンダ。映画『アンダルシア 女神の報復』にも、その美しい風景は登場する。
じつはこの街、近代闘牛発祥の地なのだ。市内の闘牛場にある闘牛博物館で、その経緯を聞いてきた。

「本来、闘牛は馬に乗りながらおこなう騎馬闘牛のことを指していました。ロンダ王立騎士団乗馬クラブも1572年に貴族たちの団体として発足しました。しかし18世紀になると、馬なしで牛と対峙する闘牛のスタイルが確立し、現在に至っています。創始者はフランシスコ・ロメロという人物。
そのロメロ家のうち、ペドロ・ロメロという人物が一番有名です。引退するまでに五千頭以上の牛にとどめを刺したと言われています」

そもそも闘牛士と言っても、多くのレベルや役割分担があるという。大まかにわけるとバンデリリェーロ、ピカドール、マタドールの三つ。バンデリリェーロは前半に登場し、牛の特徴などを判断する役。ピカドールは牛の首近くの背中に槍を刺し、牛のスタミナを失わせる役。マタドールは闘牛士の最高位で、最後に剣で牛へとどめを刺す役だ。


そんなスペインを代表するイメージの一つでもある闘牛だが、近年では若者の闘牛離れも進んでいる。特に人気の低下が著しいスペイン北東部カタルーニャ州では、議会で闘牛の禁止がスペイン本土では初めて可決され、2012年から実施される。しかし、首都マドリッドのラス・ベンタス闘牛場や同じアンダルシア州内、セビーリャのマエストランサ闘牛場などでは観戦可能だ。チケットは基本的に日なたの席は安く、日陰の席は高い。

「ロンダでも、毎年9月に開かれる伝統衣装を着たゴジェスカス祭で、当時さながらの闘牛が開催されます」

アンダルシア地方はロンダの他にも、グラナダのアルハンブラ宮殿やコルドバのメスキータなど、有名な史跡が多い。またシェリー酒の生産地としても知られ、観光資源にはこと欠かない。
マドリッドからAVE(スペイン高速鉄道)も通っている。映画『アンダルシア 女神の報復』で気になったら(もしくはシングル曲『アンダルシアに憧れて』または映画『茄子 アンダルシアの夏』で気になったら)スペイン南部へ行ってみよう。