最近は、オーガニックという言葉もかなりポピュラーになった。オーガニックを謳う食品は珍しくないし、化粧品なんかもある。
ちなみにオーガニックとは、化学肥料や農薬を使用しないで作った食材などを指す。

ところで、オーガニックからさらに一歩進んだ「ワイルドクラフト」なるものがあるのをご存じだろうか?

ワイルドクラフトとは、農薬や肥料を一切与えない無農薬・自然農の自然栽培方法のこと。9月6日(予定)にはワイルドクラフトで栽培された原料を使った日本発の新コスメブランド「QUON」(クオン)も発売される。

まだ聞き慣れないワイルドクラフトとは、いったいどんなものなのか? QUONを発売する株式会社クレコスの広報担当に話を聞いた。
「ワイルドクラフトは無農薬、自然農。人の手をくわえず、自然環境下で育つため、本来植物が持っている栄養分や有効成分のバランスが整っているといわれます」
自然農とは一般的に、有機・無機の区別なく、農薬も肥料も一切与えない、耕さない農法だそう。

「肥料などを与えることで、甘み・色・渋みなど、植物の本来の特性を変えてしまう恐れがあり、その植物のもつ力を十分に生かせないのではないかと考えています」

ちなみにQUONの原料は、ワイルドクラフトで栽培された奈良県産の大和茶。なぜお茶をコスメに?
「日本の原材料にこだわりました。大和茶は日本に古くから伝わる植物であり、その有効性は昔から知られているところ。栽培地である大和高原は日本のお茶の発祥の地ともいわれています」
近年の高齢化で、大和高原では耕作放棄地が増えているそうだが、同社では自然農で耕作放棄地を再生させている健一自然農園と連携。農業再生の支援にもつなげていこうとしている。
「大和茶が原料として良質であるのはもちろん、耕作放棄地をはじめとした日本の農業問題について取り組む糸口にしていきたいと思っています」

QUONは大和茶を主成分とし、国産の自然原料を日本人の肌にあったブレンドで処方。
天然原料100%、化学成分完全フリーを実現している。
「コスメ、なかでもオーガニックコスメは、海外の認証を取得するためにどうしても海外産の原材料を使用せざるをえないことが多く、本当に日本人に向けたコスメを作るのは難しいのが現状です」
そのような状況は、国内の生産者のサポートにもつながりにくく、本当の意味でのメイド・イン・ジャパンとはいいにくい。
「小さな動きかもしれないですが、我々のブランドは国内で働くさまざまな人たちの力とともに商品を作り上げ、日本の方々のために安心して使用していただけるブランドを目指しています」

シリーズ第1弾としては、化粧水・乳液・美容液がひとつになったオールインワンセラム「ビューティアクチュアライザー」(50ml/3,990円税込)などを発売。商品は国内のデパートなどの化粧品コーナー、ナチュラル&オーガニックセレクトショップなどで販売。年内にはネット通販もはじめるそう。

ワイルドクラフト。
今後注目したいキーワードです。
(古屋江美子)