日本の森の素材をそのまま活かしたユニークな製品、『きのかみ』が発売された。

『きのかみ』とは、漢字にすると、木の紙。
日本の林業発祥の地でもある、奈良県吉野の「森」の木材を薄くスライスして紙に貼り合わせたもの。ザラッとした木目の手触りが新鮮で、ほのかに香る木のにおいに和む新発想のおもちゃだ。

さらに、製品そのものだけでなく、コンセプトもおもしろい。なんとこれ、パパと子どもで遊ぶことをメインに想定しているのだ。

『きのかみ』は、これまで捨てられていた杉や檜の端材や間伐材を使った、パパと子どものための木のおもちゃブランド「PaPaCO YOSHINO(パパコヨシノ)」の第1弾製品。電通のクリエーティブ・ユニット「汐留イノベーションスタジオ」による、パパと子どものコミュニケーションツール(おもちゃ)の開発プロジェクト「PaPaCo Design Project(パパコデザインプロジェクト)」の一環として、NPO法人「Yoshino Heart(吉野ハート)」と協働で立ちあげたブランドだ。
手触りや香りで遊びながら森を感じているうちに、森や自然を好きになってもらおう、という思いがこめられている。

サイズは一般的な折り紙と同じだが、『きのかみ』のほうがやや厚い。適度な厚みがある分、折り紙だけでなく、ペーパークラフトや便せんなどいろいろな使い方が可能。同ブランドの担当者いわく、
「折ったときに木の繊維が割れてギザギザにならないように厚さの調整に苦労しました」
薄くなりすぎると強度が弱くなり、厚すぎても紙のように折れなくなるからだ。

遊び方はお好み次第だが、パパと一緒に遊ぶなら、紙飛行機を折って外へ飛ばしにいくのもいい。うまく仕上げるには、タオルなどを使って水で軽く湿らせるとよいそうだ。

「ぜひ遊びながら、森のことや自然のことなど、パパと子どもで一緒に想像したり、お話したりしてお楽しみください」

私も試しに『きのかみ』でツルを折ってみたのだが、紙を折るたびに上品な木の香りがふわりと漂ってきて心地よかった。普通の折り紙より折る力が必要で、できあがったものも木の雰囲気なので、ちょっとした工作のような楽しさもある。まさに、パパと遊ぶのにぴったりなおもちゃといえそうだ。

商品は840円(5枚入り/税込)。販売は、ミュージアムショップNADiff (国立近代美術館、東京都現代美術館他) 、トイギャラリーApty 四谷店(東京おもちゃ美術館内)、トイショップApty 中野店にて。11月からは「PaPaCO YOSHINO」第2弾製品として、動物の形をしたさまざまな模様の檜製のピースセット『どうぶつのドミノ』、さらに第3弾として平行四辺形と台形による積み木『つみき』も発売予定とのこと。


1枚1枚違った木目の風合いと、木の香りを楽しめる『きのかみ』。いろいろな遊び方を見つけられそうです。
(古屋江美子)