「修道女」という響きはちょっとミステリアス。東ヨーロッパのルーマニアには約5000人の修道女がいる。
頭からの足まで黒い制服に身を包み、お勤めをする彼女達。物腰が柔らかで微笑みが優しい。

ルーマニアでは修道女を志す女性は中学を卒業してから修道院に受け入れてもらえると、見習いとして掃除や洗濯、料理、修道院の庭の手入れ、刺繍やイースターエッグ作りなど手仕事をしながら、年上の修道女についてお勤めを習っていく。ただ最近、彼女達の生活スタイルが変化してきている。まだ電話線がないような田舎の修道院地方では、携帯電話が先に使われるようになったり、テレビを持つ家も増えた。牧師の話や聖歌を流す番組もあるが、ラテンの国なのでCMやニュースの出演者の衣装も露出が多く刺激を受けないか?
今日は私が過去に会った修道女達から聞いた修道女の生活事情をご紹介したい。


● 黒い制服の下は何を着ているの?
着物の下着のような白い長衣装が基本だが、外から見えない範囲で色物を着ることもあるそう。ベージュ・水色など落ち着いた色のもの。家の中で制服を脱いで作業をする際、実用的ということで身体にフィットした、つまりは身体のラインがはっきり出る服も出回っていて、年配の修道女から時々お咎めを受けるそう。

● 修道女のお部屋は?
若い修道女は相部屋が多い。赤糸を使った伝統的な手芸や飾りものや、イースターに関するウサギのぬいぐるみなど小物や、プランターの花も置いてあり、シンプルながら女性らしい部屋。桜の柄のハンカチをあげたら壁飾りに。


● どんな風にスキンケアをしている?
週に一度キュウリパック。ルーマニアの化粧品ジェロビタールを洗面所に発見、冬だけ使うそうだ。外国製品よりルーマニアのものを大切にしている。お化粧は無色のリップクリームのみ。でもシャンプーは香りが良いものだった!【脱毛は?】くすっと笑われてしまったが「腕や足はしないわよ」という答え。

● 好きな食べ物は?
複数回答で挙がったのが「肉団子」と「シュニッツェル(ドイツのシュニッツェルと同じ)」。
普段はルーマニア料理でもシンプルなものだけに、案外肉食!?

● 恋愛や結婚はもちろんタブー
私の息子の写真を見て本当に「愛しい」という目をしていた修道女はまるで少女のよう。この道に入った10代では感じなかった母性本能を、大人になってから強く感じる人もいるようだ。

実は去年の年末、40歳の修道女が妊娠を隠し続け、双子を出産したことが大きなニュースとなった。もちろん今までも恋沙汰で修道女を辞めていった者もいたが、修道女のままこのようなニュースになったのは恐らく初めて。メディアもその修道女と直接コンタクトを取りたがっていたが、当時病院側から全て断られ(教会側からの圧力という声も)FAXを通してのみ回答。しかし今年になり彼女はテレビにも出演。
“元修道女”は派手になることなく落ち着いて子育てへの思いを語り、彼女を応援する声も出てきている。他にもそういう人はいるという内部告発的なコメントや、子ども達の父親で、牧師でも修道士でもなく一般人という男性が出てこないことへの非難も大きく、修道院側もまだ対応に追われそうだ。

さてこちらの記事執筆中、ある町で長話をした修道女に聞きたいことがあり、もらった携帯番号に電話をかけたが何度かけても応答がない。結局彼女を知る友人に訪ねてもらったら、外出時以外は携帯は玄関棚に置いているよう。お勤めに忙しいと電話に気づかないことも多いそうだ。あくまで固定電話代わりに持っている携帯電話なのね。
常に持ち歩きメッセージ交換に夢中なルーマニア人も多い中、ちゃんと一線を引いているようで、なんだか安心(笑)。 

昨日15日はルーマニアのイースター。信仰深いけれど、お茶目な部分も沢山ある修道女達、皆さんは出会えたでしょうか?
(川上・L・れい子)