「夜更かしはお肌の敵」とは、昔からよく聞く言葉。
近年は「夜22時~朝2時までがお肌のゴールデンタイム=成長ホルモンが1日の中で最も分泌されるときであることから、睡眠をとることが望ましい」と考えられるようになった。


でも、あるとき、耳にしたのが、タイトルでもあるこんな説だ。
「『お肌のゴールデンタイムは22~2時』は時代遅れ」
これってどういうこと? 渋谷DSクリニックで睡眠改善指導を行なっている、インナービューティーアドバイザーの友野なおさんに聞いた。

「22時から2時がお肌のゴールデンタイムと言われますが、現実的には22時に睡眠をとれる人はそんなに多くないですよね? これは旧日本人型のライフスタイルで、現在の暮らし方には合いません」
美肌・若返りと大きくかかわる「成長ホルモン」は、眠り始めてから最初の3時間に集中して脳下垂体から分泌されるそう。“早い時間から眠ること”を心がけるよりも、“眠り始めの3時間を、途切れなくぐっすり眠ること”を意識することで、睡眠の質は高まるという。
「また、21時以降は身体が眠りの準備に入るので、そうした面では22時に眠ることは良いですが、現代生活の中で22時に眠るのは難しいですよね。問題なのは、眠くないのにゴールデンタイムに『寝よう』と思い、焦ってしまって、眠れないことで、それが引き金となって不眠症が始まってしまうケースが若い人に多いということです」

「眠れなければ目だけつぶっていれば良い」というのは、昔からよく言われていたこと。
でも、これも良くないのだという。
「ベッドに入って15分~20分間眠れなければ、ベッドからいったん出ましょう。そうしないと、翌日、翌々日に影響が出てしまいます」

ベッドから出てしまったら、目が冴えてしまい、余計に眠くなくなってしまいそうだけど、これはなぜ?
「『眠れない』と思い、焦りつつベッドにいると、脳がベッドをリラックスできる場所ではなく『覚醒する場所』と認識し、記憶してしまいます。寝ようとしてベッドに入った途端に、目が冴えてしまった……ということ、ありませんか。眠くないのにベッドに入ることで、負のスパイラルを作ってしまうのです」
確かに、自分も、リビングでTVを見つつウトウトしていたのに、布団に入った途端、目が冴えてしまうということがけっこうある。これって脳が「布団=眠れない」を記憶してしまっているということなのか……。

「もちろん睡眠に適したコアタイムというのはあります。24時を目安にして、朝6時までですが、本当は6時間でも睡眠時間は足りないんですよ」

ごく稀に存在する「ショートスリーパー」を除くと、1日に必要かつ理想的な睡眠時間は、成人で7時間半だそう。でも、これって現実にはなかなかとれない人が多いけど……。
「時間をとれない場合は、質をいかに高めるかが大切です。たとえば、起床後30分の過ごし方で、その日の眠りは変わります。起床後30分にしてほしいことは、外を見て、目に光を入れること。
果物をとる、水分をとる、朝食をとることなど。また、睡眠前1時間は、光を目に入れないこと、本や音楽でリラックスすることなどが大切です」

まだ眠くないのにムリに寝ようとするのではなく、自分のライフスタイルに合わせて、上手に「質の高い睡眠」をとりたいものだ。
(田幸和歌子)