冷やし中華についてくる「ふりかけ」の小袋。

見た目はかなり地味だし、味も香りもリッチ感はないし、さほどクセがあるわけでもない。

にもかかわらず、どういうわけか、この小袋の独特の風味が大好きで、もし単品で売っているなら、購入して他の食品にもいろいろかけてみたい誘惑にかられるほどだ。
それにしても、いつから、なぜ、冷やし中華に「ふりかけ」の小袋がついてくるようになったのだろうか。
その狙いや、味や風味・栄養面などの効果について、チルド麺「マルちゃん 冷し生ラーメン」等を販売する東洋水産に聞いた。

「もともとは1966年に即席袋麺の冷し中華で『マルちゃん 冷しラーメン 3人前』を発売しました。ほどよい酸味の醤油味スープに、ゴマや海苔の入ったふりかけ付で、夏季限定商品として定着をしました」(商品開発ご担当者)
さらに、その10年後の1976年に、チルド麺の「マルちゃん 冷し生ラーメン 3人前」が即席袋麺と同様に、ふりかけをつけて発売されたそう。
「ふりかけをかけると彩りが良くなり、香りもしますので、さらにおいしくお召し上がりいただけます」

では、ふりかけには、具体的に何が入っているのだろうか。

「ふりかけには、いりごま、卵、紅生姜や海苔が入っています。具材の内容は開発当初から変えておりません」

ところで、調べてみると、ネット上には、自分のように「冷やし中華のふりかけ好き」の声が意外とあり、なかには「ふりかけさえあれば、冷やし中華の具は何もいらない」という「具なし派」の声もあった。
「冷やし中華」と言えば、個人的には、きゅうりとハム(あるいは焼き豚など)は必須で、できれば錦糸卵やトマトも欲しいと思っていたが、もしかして、ふりかけがあれば、具は要らないように作られていたりするのだろうか。
「以前、ふりかけを外したことがありますが、お客様から復活を熱望するお声を多数いただきました。その際に、『ふりかけがあれば具がなくても楽しめる』というご意見もありましたので、確かに『具なし』で召し上がっているお客様もいらっしゃると思います。もちろんふりかけだけでも楽しめますが、やはりきゅうりやハムなどの具材を入れた方が、よりおいしく召し上がっていただけると思います」

ちなみに、東洋水産には、冷し中華・冷しラーメンだけでも数種あるが、ふりかけの添付の有無は、商品のコンセプトや特徴に応じて個々に検討しているそう。


また、以前、一部焼そばにふりかけをつけたことはあるが、現在は冷し中華以外の商品にふりかけはないと言う。

豪華だったり、凝っていたりすれば良いってもんじゃないことをしみじみ感じさせる、冷し中華の「ふりかけ」小袋。
シンプルでチープ(すみません!)だからこそ、やめられない魅力があるんです。
(田幸和歌子)